<古川日出男:集英社:1900円+税>(図書館で借)
内容を強引にラストでまとめると「東京壊滅とタフな人達」
うーん、凄いなぁ。訳が分かるような分からないような。話が「おお俺が語りたいように語り出すのだ」な著しい脱線のような本筋のような迷路のような隘路のような、流れな〜が〜れ〜て〜いつか〜、とつい三国志アニメの主題歌を想起してしまうような流れに身を任せすぎな話でした。というか明らかに話の尺が変というか、語りたい所に注力しすぎて話の形がいびつなんだけれど、面白いからいいや、という悟りを強引に与えられた次第です。
流れを追って話すのが正直出来ないので、内容をもっと具体的に流れで列挙する事にします。
- 海と子
- 島とヤギと子とコ
- 小笠原と子供達
- 踊りとコ
- 再度、島とヤギと子
- 子とコの別れ
- 未明の性と鴉
- 進化する踊りとコと家族事情
- 裏東京上陸
- 進化した踊りによる破壊と免疫体
- 結婚式場の日々と脱出
- 進む破壊の踊りとガールズ
- 鴉匠の復讐と映像技術
- テレジアとニシオギの崩壊喜劇
- 境目の町と邂逅と実力行使
- 東京炎熱地獄絵巻
- 東京地下決壊秒読み開始
- 東京地下殺人DDT散布作戦
- 鴉匠と東京地下最終戦
- 東京壊滅とタフな人達
列挙しててこんな話だったんだ、となんとなく納得してしまいました。そうだったんだ。こうしてみると、なんか後半から一気に壮絶な話になったんだなぁ。個人的には「踊りと免疫体」あたりの話が好きです。そこで出てくる3人のガールの話がまあテンションが高いというか温度が高いというか。3人目の話が延々20ページ位続いた時はどうしようかと思いましたけれど、「適当ゆってる世の中に、パンチを叩き込むわ、全身全霊で!」とか書かれてたのを見て、「ああ、のっちゃってるんだなぁ」と訳も無く悟ってしまって気にならなくなりました。
今までで3作古川日出男作品を読んだんですが、どうしてこう、生命的に温度の高い人ばっかりなんだろう、という気持ちにさせられました。活躍する人が全員無闇に壮絶と言うか、そういう人じゃないと活躍できないというか。なんかキャラクター造型の劇的さが成田良悟作品みたいだなぁ、と感じました。方向は違うけれど、「劇的」の部分では妙に似てるなぁ、と。ああ、だから好きなのか。
今度文庫になる「アラビアの夜の種族」は買おう。うん。