まあ言うほどでもない

 仕事、終わってうっしゃー、随所でないと評判の

 を探すぜー! と意気込んでみる。今日は昨日みたいに思考の激しい変転によっていきなり「見つけて買う!」まではいかなかったけど、まあ道々にあれば買えばいい、くらいには。ついでに打算もあり、それはすなわち注文すればいいんだよ注文すれば、というものである。なので、帰り道は非常に気楽であった。
 まず最初に到着できる喜久屋に。あるだろう場所に行ってみるが、当然のように無い。店員さんにも速攻で聞いて無いのを確認。ここでは注文するつもりは無かったので、次に。
 次はセルバ。この段階では、まあないだろうけど、注文はできるよね? 注文ならちょっと時間が経つから、資金繰りも大分楽になるんだけどなー、という軽いノリで店へ。無いのを確認して、そうそうに店員さんに、注文を頼む。
 しばし待つ。レジが忙しそうなので、ちょっと悪いタイミングだったかなー、と思いながら待つ。で、返答。
「無理」(意訳)
 なにごとー!? ここで買えないのはある程度分かってたけど、注文も出来ないってアーモウ、ドユコト!  そんなに売れてるのかよ! あー、やっぱり出遅れたのかー!?
 混乱する僕に店員さんが囁く。
「他の店探した方がいいんじゃね?」(意訳)
 悪魔の囁きであった。店員さんが悪魔と言うわけではなく、それを聞く私の耳に、悪魔フィルターが掛かってしまっていた。
 行くか、行くのか。しかしどこに?
 外に出る中、頭が光速で回転する。キーワードは二つ。人文とオタク。
 まず、人文に強い、大きめの本屋だ。系統的にはデザインだろうけれど、その系統は人文の文脈である。そこに強い、そしてそれがわりと次の月まで残り続ける余裕のある大きさ本屋なら、入荷があるはずだ。まず入荷が無いことには始まらない。残る量は入らないと始まらない。
 それからオタク系。これに弱い店だ。大きめなら人文にそれなりでも入っていることはあるだろう。もしかしたらものがものだから、オタク系の本屋にもあったかもしれない。だが、そういうのが強いのはまずい。なぜなら、探すオタが速攻で目をつけるのもまた、そういうオタク系が強い本屋だからだ。しかしそういう色が少ない本屋なら、オタが見逃している可能性がある。そもそもいかないし。
 その二つの条件を満たす本屋。すぐにピンと来る。
 丸善だ。
 あそこは人文系が非常に強く、だがオタ系が非常に弱い。岡山の大書店の中では、規模に比べると考えられない弱さを露呈している。だが、それゆえ残っている公算は高い。
 これこそ本屋巡りの経験が生きる時である。これくらい、本屋の生の情報を、定期的に摂取してれば、わけないのである。誇る事ではないかもしれないが。
 それはさておき。
 丸善に行くか行かないか、しばし悩む。ある可能性は高い。上記の条件に加えて、駅から遠いという点もある。これだけ揃えばある確度はかなり上がる。だがそれは可能性の話である。実際あるかどうか、となるとやはり藪の中だ。無い可能性だって、当然ある。時間も遅くなるし。帰って銀魂、はもう既に見れないからいいか、とそっちは諦め。
 さあ、どうするか。
 しばし迷う。
 が、決める。
 行こう。丸善へ! 一応、そこになくても紀伊国屋という手段もあるし、アニメイト系統でもあるかもしれない。それに、行かないでむんむんするよりは行って無いのを確認して次の方針を決めた方がいい。そういうことになった。
 移動は路面電車。100円で丸善の近くまで行けるのもいいし、それにこういう迷い気味の時は、完全に行く以外の選択を潰した方がいい。歩いてると、行く途中で迷いが出てフラフラするのが目に見えている。なので、路面電車
 乗っていると気分もどんどん高揚してくる。なんだか、こういう買う為に探すってことは久しぶりな気がする。最近は大体希少化しそうなのは手を出さなかったし、しそうなの手に入れる時は予防線を張っておいたし。こういうギリギリの時の手に入るか否か、というのを探すというのは、楽しい物だ。
 丸善に着く。そういえば、こうやってくるのは久しぶりな気がする。人文系探し回るのしてないから、回ると新鮮な気持ちが沸いてくる。こんなに広かったか。とか、あ、ラノベ棚がここにしては拡充されてる、とか発見しつつ、雑誌の所。うーん、どこだろう。雑誌全部ここだよね? やっぱない? 無いの?
 でも、慌てない。店の人に聞くのが一番である。レジに居た人に聞いてみる。

「アイデアと言う雑誌を」
「アジア?」
「アイデアです」

 なんてやり取りがあったりしたものの、つつがなく意思疎通に成功。店員さん、探しに行かれる。それを目で追いつつ、「あ、レジががら空きになってしまった…。悪かったかな」とか思っていたのもつかの間、店員さん、私が探した雑誌の所へ。と思ったら、そこから更に奥、本の並んだ棚がある方……と思ったら、そこにも雑誌が。さすが丸善は人文系雑誌専用棚があるのか。人文系はあんまり探した事無いからしらなんだ。と更なる発見。
 そんな中でも店員さんが目当ての雑誌を持ってきてくれる。あった! やった! お買い上げして、ホクホクする間もなく、帰り道にダッシュ。電車の時間が、走った方がいいくらいだったと思って走る、走る。走った成果は15分くらい前に到着。意味が無い、と見せかけてそれ位のタイミングじゃないと、帰りは座るのが難しいので、それはそれ。ちょっと歩いても良かったと思ったけども。それはそれ。
 で、電車内。座れたので、色々気が抜けた。あまりに嬉しくて気が張っていた分がぬるっとぬける。あまりにぬるっと抜けたので、何故か「あっちこっち」のつみきさん(CV千和)の「ふかー!」という声が幻聴。聞いた事無いのに。どんだけ抜けてるんだ。
 で、ぼんやりとして今更気がついた。何で探してまで買ってるの? それはしないんじゃなかったの? 最初の二つであったら、じゃなかったの? どういうこと? これで今後は食堂のうどん限定じゃないの? バカなの? 死ぬの?
 色々と頭の中でうわああ。となるが、まあ手に入れれたしいいか、と自己完結。今日はそんな一日でありました。
 追記。後一冊あった。