感想 伊藤勢 『闇狩り師 キマイラ天龍変』

闇狩り師 キマイラ天龍変 1 (リュウコミックス)

闇狩り師 キマイラ天龍変 1 (リュウコミックス)

 大体の内容。「激突!怪(人)物大決戦!の端緒」。怪人物ったって片方は出自がはっきりしない上に「てめえら人間じゃねえ!」(BYせがた三四郎)だから、ちょっと語弊のある言い方ですけれども。
 さておき。
 『荒野に獣慟哭す』が雑誌死亡というまたか、またなのか、運命なのか、って感じで終わってしまって早幾年。正確にはほぼ一年。伊藤勢漫画が装いも新たに見えてわりと同じ顔して帰ってまいりました。正確にはもうだいぶ前から連載してるんだから、帰ってきていました、ですが、それはそれ。リュウはなかなか見れないんですよ、置いてあるとこも少ないし。
 で、帰ってきたらばどうか、というとわりと同じ顔して、と書いたとおりに基本的なノリやらは『荒野』とさほど変わってはいません。まあ描く人と原作の人が同じで、しかも『キマイラ』シリーズと『闇狩り師』でクロスオーバー*1。そう突飛な違いが出るか、といわれるとそうですね。というか変に違う味にしすぎても行けませんよね。としか言い様が無いわけですが。でも、今回は偉丈夫キャラというのがメインキャラだったりするのが今までとは違う。偉丈夫がいなかったわけではないけど、わりと線の細いキャラが主役をはることが多かった伊藤勢漫画においては、かなりの冒険ではないのか、と見たわけですが、それは杞憂でありました。伊藤勢せんせは偉丈夫キャラ描いてるのが色々と楽しいのか、かなり活き活きと描かれていて、その闊達な立ち振る舞いやら派手な活劇が、伊藤勢せんせの作風とどんぴしゃじゃねえか! というくらいにはまっており、これを発案しただけの事はあるなー、と大納得。いつもの伊藤勢ノリで巨体ががっつり動くさまとかも、見ていておおっ、と唸る出来で、ついでにエロ部分があんまりエロくないとか、猫耳とかどうするんだよそれとか、というか獏せんせもたまには手綱握ってあげないと、暴走する方だって不安なんですよ、とか色々とあるんですが、それでもこれを初伊藤勢するのには巻数も新シリーズなので全く無い点からしても超オススメです。手に入れるのが小規模店では致命的に致命傷なくらい難しいのが問題だったりしますが、漫画をきっちり取り扱う店、あるいはとらのあなアニメイトメロンブックス系統のオタ系とかならなんとか手に入ると思われます。その系統の店にまったく入ってなかったりする「ブラック・ジョーク」よりは難度低いですから、大丈夫。
 それにしてもこれ、短いのかなー。もうちょっと長めにみたいけど、たぶん短い話だよな。そんなに長くなる要素がないような気がするし。面白いから長く見たいー。でも長くなってグダグダになるのはちょっといや。悩ましい。短く終わって、コミックリュウから『荒野』が新装版で出て、それで『荒野』の続きが始まったらウハウハでいくか? ザブーンだな!って感じなのに。でも、それで面白いのが中途半端に終わられるのも、それはそれで痛し痒し。うーん、マジ悩ましい。

*1:だよな?