感想 柴田燕ウ 『表色89X系 2』

表色89X系 ~GIRLS COLOR CHART~ (2) (まんがタイムKRコミックス)

表色89X系 ~GIRLS COLOR CHART~ (2) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容。「過程が色々無いのに、なんかくっついた!」。ということで、最終巻だからなのかなんなのか、とにかく力いっぱいに進行していく『表色』。力いっぱいなので、倒錯カップルががっつり完成してしまっております。葵と杏とか、つつじと雨音とかはまあ、掲載誌が百合い事で有名なきららMAXだし、しっかり心通わす話もあったから、特につつじと雨音のは細かい機微があっていいものでしたから、という理由で納得できるんですが、まさか香と先生さんがマジカップル化どころか結婚するとは……。描き下ろし部分だからたって、何時の間に日本はそういうのに寛容になったんだ、って気もしないでもないです。てか、男と男ですよ? それいいの? きららMAXにてそれはいいんですか? まあでも、最終巻だし、香君は本当に本気だったから、ここは大目にみるべきか。などと謎の寛容も出ようものです。
 さておき。
 この巻で最終巻であるわけですが、その終わり方というのは、描き下ろしなしで考えると本当にがたついていた、というのが正解だと思います。終わり直前の葵のキャラ強化ネタとか、本当に試行錯誤というか右往左往七転八倒だった印象。つか、ホントなんだったんだろう、あのけん玉押し。
 そして最終回に向けて巻きにならないといけない三ヶ月前でも状態はがたついており、きららMAXらしい百合い展開とか、香君の先生の見合い破壊工作などが行われるのですが、終わりに向けた方針はないんかい! とか思わされます。っても、そういえばこの漫画、特にやらないといけないことが無い、淡々とした漫画だったな、とも思い出させてくれまして、特に終わりに向かわなくても問題ないんだ、という意思表示だったのか、単に終わらせるビジョンが見えなかったのか、は所謂藪の中であります。そんながたがたしてた状態だったので、最終回もむりやりの打ち切り感満載。MAX掲載分では最後の台詞「これで終わり!?」ってこっちの台詞だよ! とか思ったのを思い出されました。でも、この何がしたいか、と言うのが無いのも、嫌いじゃなかったなー。葵のキャラが薄いというか、方向音痴ネタが後半から全く機能しない、というか使いづらそうって流れになってたり、杏の倒錯感がきららMAXだとややぬるい――きららMAXが出来ておりすぎるだけだけど――ように見えたなぁと思ったり、つつじと雨音のせっつかないないけどその分ゆったりとした百合が味わいがあったなと思ってみたり、色々と思い起こす事はある。でもやっぱり一番思うのは、芸術科の意味無かったよね……。最終回でもネタになってるけど……。