感想 中村哲也 『ぽすから 2』

ぽすから (2) (まんがタイムKRコミックス)

ぽすから (2) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容。「君と一緒に歩いていく」。一部チャリ漕いで行くカップルがいますが、まあそれはおいておいて、この漫画、基本的に告白以後が意外と長い印象で、きっちりと話を幕引く為にじっくりと告白後が語られたのが、この漫画の妙味と言えるでしょう。好き同士に成った途端にラブ押ししてくる漫画が多い中、基本的に間柄が一気に変わるわけじゃないけど、好意を寄せ合っているのが態度に出る、って辺りが素晴らしく好ましく感じられるのでありました。積み上がったものがとうとう転ぶ様の甘さは、バニラアイス的王道の甘み、ゆっくりとした好意の寄せ合う甘さは、抹茶アイス的な渋みから沸き立つ甘さ。どっちの甘さも好ましいですが、ニッチなのはなかなか味わえないのが世の常というか。でも、一定量の需要はあるかと思います。思うんですよ!←謎の強調
 さておき。
 そういう甘さに好印象を覚えるこの漫画ですが、もう一つの主線としてあった大学入試の方も余さず終わらせたのは、更なる好印象を持つには十分な要素。試験に対して仲間を敵に思ったり、仲間同士で励ましあったり、というのはなんかこう、受けた学科は全く違うけど、あるよなーって思える懐かしさを感じるに十分なものであります。試験シーンを入れる、というのも、ここまで試験に対して積み上げてきた物を、ちゃんと消化、いや昇華しようっていう思惑を感じて、その思惑、イエスだね! とか感じます。なんだか、読んでて頑張れ! って思っちゃったんですよ。もう、その時点でこの漫画に飲まれてたんだな、って思わないでもないですが、飲まれてなんぼですよ、漫画読むってのは!
 あ、試験ターンで一番良かったのは、やっぱり鉛筆を交換し合うシーン。あの、皆仲間だ、っていう雰囲気は大変よろしい。しろきちが一回疑心暗鬼じゃないけど色々悶々しちゃった後だっただけに、いつも使ってる鉛筆を、って辺りが本当に仲間、友達なんだなー、ってほよおよと顔をほころばせるに十分なものでした。仲間ってよろしおすなあ。とかなんとか。