感想 久正人 『エリア51 1』

エリア51 1 (BUNCH COMICS)

エリア51 1 (BUNCH COMICS)

 大体の内容。「異形相手にハードボイルド」。隔離された地区、閉じ込められた異形、と聞くと内藤泰弘血界戦線』を彷彿としてしまい、すわパクリか! と思ってしまうところですが、そこは久正人漫画。同じ味わいになるなんてことはありませんのことよ。異形も、内藤漫画のオリジナル創造の異形ではなく、説話、神話から都市伝説、過去から現在まで網羅した有名な名前付きの異形さん方。そんな奴らが跳梁跋扈する中で、女一匹がっつりとハードボイルドしてるのが、この漫画なわkです。初っ端から九十九神ネッシー、ヘルメスにアーサー王と、有名な異形さん方が乱舞して、一話で大体この漫画がどういう漫画なのか、というのが分かる仕組みとなっているんですが、この漫画の真骨頂は、もしかすると次の巻に持ち越しなのでは? という疑念もあったり。一巻収録は一話から四話まででありますが、内容的には別に繋がってるわけでもない。でも、なんというか、伏線はしっかりあって、それをまとめた四話ラストから、この漫画は始まるのではないか、そんな思いに囚われます。その方が収まりがいいというか、なんというか。結構凄い事になったんで、次の巻がどうなるか、無茶出来るからそれをどう処理するかがですが、それが楽しみであります。
 さておき。
 話としては始まりとして大々的にスタートして、どういう漫画か見せてくれた一話、内容的には大変ベタながら、そのベタをしっかりと描ききっている二話、初手の伏線が回収されて、大きく話が動きそうな雰囲気を見せる四話、とどれも捨てがたい魅力がありますが、やはり味わい深いのは三話。初っ端から猟奇! と思ったらそういう理由かよ! という肩透かし気味な見せ方から入るんですが、そこから事件と事件が繋がり、ハードな話として展開し、そしていい話とちゃっかりな話とで見事に終わらせてくれる、というのが見られて、大変面白い回だったと思います。異形が固まってるがゆえに出来るネタであり、そういう設定を見事に使い切ってる回、この漫画が見せられる妙味を見せている回、と言ったらいいでしょうか。こういう有名異形クロスオーバー、なかなか見れないので大変楽しかったです。