感想 内藤泰弘 『血界戦線 3』

血界戦線 3 ―震撃の血槌― (ジャンプコミックス)

血界戦線 3 ―震撃の血槌― (ジャンプコミックス)

 大体の内容。「ある平凡な一日とある非凡な一日」。一巻目とかに比べると、HLの危機感が強い話以外も出来るようになった、というのはやっぱり連載の妙と言うやつなのでしょうか。そう感じたある平凡な―っても、この世界なので平凡の域が常の物とは当然違いますが―一日の話である『Day In Day Out』は、いままで顔は出ていたけどその実態、キャラクター性が前に出ていなかったスカーフェイズさんの一日を軸に、他のキャラのライブラ外のある日を軽く絡めてあしらった一作となっております。スカーフェイズさんの話は流石の内藤魅せが全開したもので、降りかかる火の粉を文字通り凍らせる展開が素晴らしく素晴らしい。この瞬間的な魅せの確固たる格好良さが、内藤泰弘作品だなあ、とか。チェインさん方面も、チェインさんの謎めいた行動、一回助けなかったのに次は助けたと言う謎の助け船の理由が特に語られなかった辺りがらしいというか。何も全部言わなくていいんだよなあ、とか思いました。なんか理由があったんでしょうかね。一方、無様無様のザップサイドも内藤節という物が規定されるなら疎外出来ない一要素として、この回を彩っていました。何この内藤異形全開の映像美。そして非常に無様。いいなあ、これも。そしてこの回最後のコマが世界最大の個人の寝姿、だったのもまたこの漫画、内藤漫画らしい変なゆるさで、そういうのが好きな私には最高の一コマでありました。というか世界最大の個人も寝ると可愛いなー。基本内藤異形だけど、上手く漫画らしいデフォルメされてるのがいいのかしら。
 もう一つの作である『パンドラム・アサイラム ラプソディ』『震撃の血槌』(二つで一つの話)は一転してライブラとしてのお話で、基本的に超デカイ鉄の塊である車をどう止めるか、という内容なんですが、そこに至るまで相手をムチャ機体として積み上げて、そこから一気に見せ場の連打で片付けるという言ってしまえばマッチポンプを見事に魅せてくれます。漫画の魅せ場なんて基本マッチポンプなんだよ! という声は当然聞こえない幻聴ですが、それでもこの積み上げて崩すのはかっこいい。GOOD JOBです。良い仕事としては今回のスポット参戦のハマーが素っ頓狂な奴だけど相棒というか自分の血液であるデルトロと良いコンビしてた辺りも良い仕事。ちょい魅せしか出来ない、というのを短時間で魅せる、これもまた見事な仕事でした。必殺技がただパンチってのも他のキャラが中二病精神全開の中にあって一際目立ちました。これも少ない魅せ場を効率良く使う業でしょう。あこがれちゃうなー。
 とかなんとか。