感想 吉野弘幸 『VITAセクスアリス 3』『VITAセクスアリス 4』

VITAセクスアリス 03 (チャンピオンREDコミックス)

VITAセクスアリス 03 (チャンピオンREDコミックス)

 大体の内容。「え? 今までのノリを捨ててシリアスに!?」.

 大体の内容。「え? 三巻のノリを捨ててエロ馬鹿に!?」
 基本的にエロスとボンクラさを中心に進んできたこの作品ですが、三巻で一つの区切りを迎えました。こんなに基本がエロとボンクラな漫画なのに、突如マジモードと一転してかなりの馬鹿妄想話を持ってこられて、更にその上できっちりと締めに掛かるんだから、思っていた以上にHYSKラインの鋼の結束力と実力は鋭い物があります。というか、燃え萌え。VITAがかっちり決まるオーラスのかっこよさはこんな漫画なのに…! という敗北にも似た味を噛み締めるしかないレベルでありました。HYSKラインすげえ。こういう風になったのも、元より長く続く舞台であるとは思われなかったチャンピオンREDいちごが、しかし思った以上に長続きしている現在において、この漫画も長期連載としての格とか長期用足場とかそういうものを考えたのかもしれません。それ位、ぽっと出アイデアじゃなくしっかりと長期キャンペーンとしてメイア編はあった、と思います。
 と言った側から4巻目は元のエロ&ボンクラ路線に戻ったりするからHYSKラインは侮れません。基本的にどの回もエロス&ボンクラですが、特に秋帆にエロい魔の手の伸びる回『彼女の胸のうち』はエロ度が最高潮に高まっており、そのエロさは正直に申しまして愚息が昇天レベルであり、「ああ、やっぱりこの漫画は基本はこれだよね…」って賢者顔してしまう事請け合いです。いやでも、マジあれ有効活用(婉曲表現)出来るレベルだよな…。4巻は3巻の流れからは考えられない程のエロス話の連発であり、それには何か意味があるのではないか、という妙な勘繰りも当然発生して心身のバランスを保とうとしたんですが、でもやっぱりエロいのはそれだけで正義だよね。というしたり顔に結局行き着いてしまう辺りが、自分の限界点のような気がします。この漫画にはこのまま突っ走ってエロ綺麗に終わってもらいたいものです。
 キャラ的な話をするとどちらの巻も最後にメイア回を持ってきているのは示唆的と言えましょう。つまり、穴埋めみたいな扱いがメイアにはお似合いだという事! というのはまあ冗句で、タイミング的に丁度上手い具合にメイア回が巻の最後に来ただけでしょうけれど、でもどちらもメイアにとっては大変重要な回でありまして、話の核心にも触れる部分があったりして、そういう話をきっちり作ってくる辺りは流石に一線級は違う、と唸らされます。メイアもVITAに入れる形になって意外と長期連載になってきたけれど、ちゃんと終われるのだろうか、この漫画。それ以前にいちごがちゃんと持つのだろうか。そんな事を考えるのでした。