感想 久正人 『エリア51 2』

エリア51 2 (BUNCH COMICS)

エリア51 2 (BUNCH COMICS)

 大体の内容。「異形相手にハードボイルド」。なんか1巻ん時もこの大体の内容だったような気がしますが、今回もそんな感じだったので引き続きです。
 さておき。
 一話ずつ語っていくと、第5話は付喪神の銃との決闘。第4話で張られたままだった伏線をかっちりと回収しつつ、ホムンクルスの悲哀が描かれた回、と言えましょう。ラストはなんとも切ない終わり方でした。後、付喪神の銃での闘い、というのも横線としてあり、その闘いが付喪神だから出来ると言う無茶軌道を描く弾丸として描写されておりました。神の銃だからって無茶が効くなあ。
 と思っていたら、第6話では賭けレースにちょっかいを掛ける為にその性能を遺憾なく発揮。普通の銃としての弾丸以外に様々な使い方が出来る、というのを異形の利点弱点を活用しながら見せる回となりました。個人的には異形がたくさん居るがゆえに出来る味わいのあるこの回がこの巻のマストです。ラストも味わいが効いているし。
 第7話は犬探しと言う縦軸に神の所業という横軸、そして昼と夜という線も加わり、ハードボイルドで締める話に。神様に対して聖人君主な側面ばかりじゃないよね、神話とかだと大体意外に駄目人間だよね、という見方がいい視点だと思いました。ラストの物悲しさも、ハードボイルドだな、とか。
 第8話は鯉が龍になる話。キシローの同郷の河童が登場して、その軽さで軽めの話になる、と思ったら締めでシュッと息を呑む形に。この漫画の到達点という物がにわかに、そして剣呑になってまいりました。これだとあまり長々続かないシリーズになるのかな、と思わせてくれるには十分な剣呑さ。というか、逆に長く続いたら変になるしかない設定ではありまして、だけどマッコイが狙う仇の影すらまだ見えてないわけで、じゃあどうなるのよ、という事で老婆心がにょきにょきと。
 うーん、変になる前に終わって欲しいけど、でもこの世界観も好きだから、じっくり続いても欲しい。難しいなあ、こういうの。
 とかなんとか。