感想 あfろ 『月曜日の空飛ぶオレンジ。 1』

月曜日の空飛ぶオレンジ。 (1) (まんがタイムKRコミックス)

月曜日の空飛ぶオレンジ。 (1) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容。「へんてこな島のへんてこなJKのへんてこな日常」。へんてこ、なんと聞こえのよい言葉かー! というかこの漫画を説明する場合に“へんてこ”の4文字を極大活用すると大変楽というか、へんてこです、で終わってしまう。そんなへんてこな漫画、それが『月曜日の空飛ぶオレンジ。』(以下のぶオ)なのです!
 という冗句のような本気のような入りで入りました、のぶオですが、しかし本当にへんてこと言う言葉がぴったりくるんです。ぱっと見、現代的なJKわんさかコメディという体つきではあるんですが、そこで起きる事は、ん? と一回躓きを覚える事ばかり。西瓜の自販機、顔が箱、信号機の苗、謎電波に引き寄せられる人、などなど、へんてこな事例ばかり。なんだかこれは普通に処理しては危険な案件なのでは? そういう違和感を、じりっ、と突きつけられているんですが、しかし、基本はJKがくだらなくそれらに相対したりスルーしたり、という物で、その突きつけられた切っ先は意外と秘されているわけです。なのでちょっと変な事が多いだけだよ、へんてこなんだよ。そう見誤ってしまう。
 それが、この漫画の落とし穴。気がつけば、その穴が口を開け、落下している最中になっています。それが足掛け4話使って行われたヨシノ兄の展開。これ、一口に言うには色々と紆余曲折があるんで、それだけではないんですが分かりやすくヨシノ兄の展開と言います。それがまあ、見事に決まってくれるわけですよ。あっちやこっちやで驚愕させられつつ全く予想出来ない展開の中で、最終的に出てくる「バカめ。」の四文字でここまでぐっとくるとは、思ってもいなかった。へんてこなだけと思ってたから尚更ですよ。そして、色んな謎があるんですよ? 覚えておいてくださいね? と言いたげなその凶悪な面構え! のぶオ、恐ろしい子! そんな戯言を垂れ流す位には、単なるJKgdgdとは言い切れないこの漫画の空恐ろしさにやられてしまいました。
 そんな後半4話の展開を一気に見れる皆さんは幸せ者ですよ。リアルタイムで待たされ続けた雑誌からの読者には、この4話はマジで待ち焦がされていた日々の思い出のが強くて強くて…。毎回毎回やられた! 次が気になる! って思い続けるのって辛いんですよ…。その分、感動もひとしおでしたがね!
 さておき。
 この漫画を語ると言う事はヨシノについて語ると言うのと同義で(違います)、ヨシノハ! カワイイデスヨ! が皆の合言葉で(違います)、ヨシノマジこの世に降り立った仏陀なわけですが(違います)、そんなヨシノの浮沈が見れるのもこの巻の良い所。基本トリックスターというか引っ掻き回しで落ち込むとかあるの? と思われていたヨシノがガチ落ち込みする展開がヨシノ兄の展開の一端なわけですが、これは個人的には衝撃的でした。引っ掻き回しってある意味最強と言うか、ギャグ補正の恩恵を一身に受けるものですが、しかしこの漫画はそうしない。場合に寄っては落ち込ませたりする事も辞さない。そのへんてこの裏に隠されたガチっぷり! そしてそれがあっても最終的にヨシノ復調へと向かう展開の美しさ! もうね、これでヨシノは現人神になったと言っても過言ではないですよね!(違います) この展開があったがゆえに、この漫画が更に好きになって、更にヨシノが好きになりましたよ。やはり、のぶオ、恐ろしい子
 そんな事を思ったのでした。