感想 佐藤両々 『しょっぴんブギ 3』

しょっぴんブギ  3 (バンブーコミックス)

しょっぴんブギ 3 (バンブーコミックス)

 大体の内容。「馬場さんが意外としっかりした恋愛感で安心するなど」。わりあい小悪魔要素があるというので、“あの”馬場さんが!? 嘘だそんな事ー! と思いましたが、定本さんの言うように、考えていない人間なんていないのであり、そういう側面が今までクローズアップされてなかった、というか買い物狂の部分ばかりがこの漫画の筋である為にクローズアップされてされてされ過ぎていただけなので、そういう奴なのだ、と言われると、お、おう…と言わざるを得ません。この展開のスムーズさ、そして終わりが見えたのでちゃんと片付けておかないとな! というサービス精神、まさにタツジン! と恐れ戦くばかりであります。
 というわけで、最終巻となり、2巻で降って湧いたような恋愛要素、というか主に男の方が勝手にもりもり盛り上がる展開にちゃんと結論を打ち込みつつ、この漫画らしいノリをちゃんと維持した見事な巻となっているかと思います。買い物にクローズアップし過ぎていた1、2巻に比べると、この3巻は馬場さん以外の買い物というのに注力が置かれていた印象を勝手に持っていたり。なので、無茶だこれー!? という正直驚愕な部分はわりと少なくなっていたというのもまた印象として持っていたりもします。元々が単発なインパクト勝負だったのだから、そういうのが落ち着いていくのは理の当然なんですが、ただ買い物するだけであのインパクトは、なかなか無いので、それが落ち着いたのはちょっと勿体無い気もします。まあ、それなら1巻再読めよって話ですが。
 さておき。
 しかし、この本の後半になって、定本さんがDIY精神の隙を突かれて悶絶するターンが結構あったのが楽しかったです。基本、馬場さんの買い物に精力がいれられ、それを定本さんが突っ込むのがこの漫画の基本だったはずが、徐々に栗栖さんとか馬場さんラブ面子とかが場を占めるようになって、相対的に定本さんの突っ込みが少なくなっていただけに、そのてこ入れかなにかだろうか、という邪推などしてみましたが、それで定本さんに新たなアクティブさが出ていたので、定本さんスキーな私には大変おいしゅうございました! という完全餌付け後の笑顔をどこへともなく向けるのみであります。あれだけ緊縮が好きな定本さんなのに、DIY魂刺激されると散財したくなる、見境が無くなる、っていうのがいいんですよ…。
 この巻で好きなネタというか買い物の話は、やはりドーナツ大量買いの回でしょうか。カロリー考えろ! って言われて4280キロカロリーかな? って返して考えて買っている! という戦慄を与えてくれて最高でした。買い物の物だけではない、違う部分もきっちり考えてるよ! という馬場さんの買い物への飽くなき挑戦っぷりを見た思いです。この辺の展開とか、オチへの持っていき方は流石に一線で描いてる人だって思ったりも。
 さておき。
 この漫画見ていると、買い物をする、というのがどういう事なのかというのをついつい考えてしまったりも。それを単に買い物と言うだけで、我々は済ませていないか。もっとエンターテインメントとして楽しまないと! という事を言いたい漫画じゃないんでしょうが、それでもそういう部分、そして買い物の為に働くという一見すると駄目な感じな事に対しても、それでいいんじゃない? とちゃんと見つめ直したくなる漫画であったように思います。ケウ! そんな叫びと共にこの項を閉じたいと思います。