感想 高橋慶太郎 『デストロ246 1』

デストロ246 1 (サンデーGXコミックス)

デストロ246 1 (サンデーGXコミックス)

 大体の内容。「JKがぶっ殺しまくる!」。同じタイプのスタンド、JK殺りまくり! としてD.P.&山本賢治『trash.』がありますが、あっちが狂ってる! ならこっちは怖い! という雰囲気。おかしいにはおかしいんですが、完全サイコパスな『trash.』の殺戮者達に比べると、『デストロ0246』の殺し屋は玄人としての恐ろしさ、怖さというものに満ちている気がします。まあ、ヤバイ奴と殺りあいたい!って思考するので、頭おかしいのは間違いないんですけども!
 漫画を適宜マッピングしてみると、位置的には『DOGS』と『職業・殺し屋。』と『trash.』の三作品の振れ幅の中の、決して交わらないはずの交点上にある、という感じを受けました。その位置はありえないがゆえに非常にタイトでシビアな場所ですが、そこに好きに描いたら乗っちゃった、という雰囲気に満ち満ちている辺りがこの漫画の凄み、高橋慶太郎という漫画家のポテンシャルを感じずにいられません。というか、こんな凄い漫画家だったんだな、高橋慶太郎せんせ。今までよくよく知らずに過ごしてきた不明を恥じる思いです。
 さておき。
 この巻はどちらかと言うと承前という感じ。犬二人、一匹狼、メスグループが交互に出て、それが偶然にも一堂に介する形になって、という辺りが素晴らしくいい試合運び。それぞれが少しずつ様相を見せる辺りの魅せ方の巧みさと相まって、この漫画の良さと言える部分でありましょう。でも、刑事さんが全くそうとは知らずに殺し屋集めまくって一堂に、の一瞬の凪はなんだか妙にツボでした。笑い所じゃないはずだけど、なんか揃っちゃった! というのがたまらなくいい味わいだったのだと思います。この辺の妙な笑い所は『ヨルムンガンド』でもたまに見せていた側面であろうかと思いますが、それが全体的に頭がおかしい雰囲気に満ちているこの漫画では、より間隙としてツボを刺激してくる様相を呈していると思います。前記の一堂にの場所は、なんでお前らちょっと和やかな雰囲気作ってんだよ! というのがひたすら来ました。妙というのはなかなかに出せるものでもないから、やっぱり凄い漫画だな、とも。でもおかしいので笑いが出ます。
 さておき。
 個人的にはヤクザグループの三人娘がガチレズなのをかなりおおっぴらにしてて頭おかしいと思いつつ、他の人達とは明らかに間違った陽性を持っているので好きであったり。地味目の眼鏡っ子がヤクザの親玉で、っていうのも『美女で野獣』以来の個人的なツボだからでもありますが。しかも毒使いという、こういう殺し屋漫画ではかなりレアリティのある役所なのもツボ。それがストーリーとどういう絡み方をするのか、は楽しみでありますよ。犬二人の主人が毒殺者を探してる辺り、深く絡み操舵し。後、毒って必殺率高いけどそのお膳立てが難しいタイプなだけに、どういう風にやっていくのか、それもまた楽しみです。魅せてくれるか、あっさり死ぬか。なかなか見えないなー。
 とかなんとか。