- 作者: 三上小又
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2013/04/26
- メディア: コミック
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大体の内容「いつもの『ゆゆ式』ノリでしたね!」。そう言いきっていいほど、いつもの調子でやるいつもの『ゆゆ式』。それが『ゆゆ式』5巻なのです。いやあ、こんなにいつも通りなのに、大変楽しめるのはありがたいですよ。極めて、ギャグ的に笑えるというのでも、くすりとくるというのでもなく、ああー、だなー。って妙な納得を持ちつつ、ふにゃりとくる。そういう妙手な漫画となっておるかと思います。
先にいつもの、とは言ったものの、そのいつものは初期の頃とは様相自体は変化している感じも部分的にあります。あいちゃん達追加に寄ってゆゆゆ三人娘以外の視点というのが確立されてからこっち、ゆゆゆ三人娘の繰り出すネタにその三人には堪えられないものがあるんだろうなあ、という空気が掛かっている感じになっているように思います。アニメでもその辺はよく出ていて、アニメ4話の「やる気ビーム!」の件であいちゃんが傍目からして驚いてしまうというのがありましたが、ああいう感じがこちら側、読者側に向けてきている感があります。それを読者の選別と取るのも一つの方針ではありますが、でも、このどうしようもなく楽しげなゆゆゆ三人娘の立ち振る舞いを愛でるのもまた、読み方としてはありじゃね? とか考えるようになってきました。たぶん、そういうのとは違って、今この瞬間を楽しくする。今が一番大事! というのがメインの言いたい事だとは思いますけれども、まあそこは個々人が勝手に思うことだから許容して欲しいですね。
どうでもいい事はさておき。
今回の巻でも特に上記以上に言う事がほぼ無い、そういう意味でもいつもの『ゆゆ式』ノリは依然健在でありますが、それでも何か適当に取り繕うと、だいぶ既存の4コマのノリから逸脱しつつ、でも4コマできっちり終わらせるテクというのが見え隠れしているように思います。特にそう感じたのはクモの巣の件(71ページ左)。三コマ目までのっぺりとした展開なのに、最後のコマのオチとしての切れ味は抜群。やんのかよ! というのと話オチてない! というダブルブッキングが素晴らしい出来栄えでありました。
そんな中にあるので、安定した4コマ的展開は安心して見れるがゆえに余計に際立つという物です。特に良かったのはお母さん先生が怒っていた! という話をしていて三コマ目での「殺人?」の強さからオチの脱力具合はとてつもない物でありました。広くざっくりし過ぎている! という慄きが誰でも得られる見事さでしたよ。この辺の物が出るバランス感覚は、やっぱり優れているであるなあ。などと思うのでした。