感想 佐藤健悦 他 『VITAセクスアリス』6巻

 大体の内容「さらば地球よ!そしてこんにちわ新地球!」。最終巻、と言う事でどう結末付けるのかという期待、ハーレムがどうなっていくのかという期待が駄々と脳内に活性化させつつ、この巻を読んだ訳ですが、納得は出来るには出来るんだけど出来ない部分もあるのでどうしたらいいのでしょうか。いや、オチとしてはいいと思うんですが、そうなるとアメリカのVITAとか結局どうなっちゃったのよー! というもやもやも残る、一気呵成な終わり方をしたのが、『VITAセクスアリス』6巻最終巻なのです。
 アメリカの方の話が全く何事もなく終わったのが個人的にぐぬぬ……ポイントであります。というか、そうなるんだったら一体どういう意味合いがあったんだよ、アメリカ編! 何回か読んだけどフォローが特に見当たらないんだけど!  この流れだとあれもかなり問題作じゃないのかよ! そこはもうこちらの妄想に任せるしかない状況なのでしょうか。そうなるとこの漫画があまりにエロスに力入ってるから当然のようにエロ妄想になるんですが構いませんねッ!! エロエロなの浮かんで来るんですけど! という言葉が自然に出てくるから困ります。僕、そんなにエロスな人じゃないのに! この漫画のせいですよ!
 という責任転嫁はさておき。
 他に勿体無いのは同時変身があまり使われなかった事。一応この巻で一回ありましたが、折角出来るって設定が立ち上がったのに、あんまり有効活用されなかったなあ、という印象が、冷静になるとあります。まあ、出来るようになったらアメリカ編に突入しちゃったしなあ。それに付随するのはメイヤの存在感の無さ。こっちも何かありそうだったにアメリカ編に突入してから一気にラストに突っ込んでいった為に、こちらも一気に影が薄くなってしまいました。この巻だとほぼモブじゃねえかよ! そんな贅沢な使い道なんてあるかよぉ。SAKIの方が存在に意味合いがあったじゃねえかよぉ……。ふえぇ……。
 とはいえ、最終回に向かう流れは説得力はあるにはあるんですよね。その分、他の伏線めいた物をばったばったとなぎ倒してしまっているというのはあるんですが、でもだからこその説得力。連載最終回とこの巻でのもう一つの最終回というのがしっかり用意されての〆はきっちりとしたものでした。志楼君がどっちを選ぶか悩まないようにしつつ、そこをしっかり活かして最後に決める辺りは熟達ってやつであります。あるいは逃げと言う言葉も出てきますが、ちゃんとどっちに対してもオチつけたので、そこはしっかりやったな、と言うべきでしょう。やりやがったなあ……。
 設定面でもきっちりオチはつける! というのが全面に出ており、SAKIと志楼の姉の類似の話もしっかり回収するなど、その辺伏線やったんやね、というのを出来るだけ漏らさずにしており、最終的にこのオチに向かって行く予定は最初からあったんだろうなあ、と思わせてくれます。それがきっちり出来るというのは、幸せな事だろうなあ。
 最後に。
 この漫画って本当にある種の奇跡と言うか、船頭多くして山を登るめいた体制であったにも関わらず、空中分解しない所か各々が持つ回転力が2倍にも、3倍にも、4倍にもなって大回転した稀有な例である、と最後に際してそう思ってみたりします。燃えも萌えもエロもエロも! というよくばりさがむしろ全員の高回転に寄与したんだろうなあ、とも。こういう仕事の例はきっちり残して次代に伝えたい。などと戯言を垂れてこの項を閉じたいと思います。