ネタバレ?感想 田口雅之 『ブラック・ジョーク』11巻

ブラック・ジョーク 11 (ヤングチャンピオン・コミックス)
ブラック・ジョーク 11 (ヤングチャンピオン・コミックス)

 大体の内容「よしオチた! 終わった!」。という、某八房の人みたいな感じをする終わり方だったのが、『ブラック・ジョーク』11巻なのです。
 『ブラック・ジョーク』、11巻で完結となりました。ファナティックとしてぶっちゃけるなら、話の広がり方が壮大になり過ぎてしまったと感じていました。ここでオチないと他に話が派生しようがない感じだったので、そこを目配せしつつきちりと形は収めたことについては、むしろこの形に良く収めたなあ、と思います。
 とはいえ、話が対コメとなってしまっていたので、そうなるなら一見デッドエンドにしないとならんかったわけですが、そこについての話の組み込み方も上手かったといえるかと思います。なんでこのタイミングで社長とあいつ出てくんの? みたいなとこでちゃんと目くらましを仕掛けてその後の展開に「????」させるテクは、田口先生やるなあ、という感想がするっと出ました。それがちゃんと最後に繋がっていて、そこは大変綺麗でした。
 さておき、そこに至る過程としての、小玉、ラン・オーバー、あかりの三戦はこの漫画の最終戦にふさわしい、ような気がすると言いたいです。
 個人的に小玉とクローンの元の人との戦いがもうちょい見たかったというのがあるんですよ。話の都合上、わりとワンパンで終わってしまったのが惜しいなと。しかし、先述の通り話の都合上でここは長くできないのも分かるので、痛し痒しといったところです。
 その代わり、ラン・オーバーとエージェントのおっさん戦はこの漫画の通奏低音みたいなのが、アウトローにはアウトローの流儀がある、というのをきっちりと出ていました。つかジョニーはマジで今回役に立ってたな!? という感想も織り交ぜつつ、最後はラン・オーバーが無茶体術でイポン! という「うんうん、それもまたラン・オーバーだね!」というアイカツ論法が出る決着です。特製車いすもやばいけど、ラン・オーバーは単体でもやばいから無茶苦茶なんですわ。
 で、あかり戦ですが、ここからこの漫画の最終シークエンスのネタ振りが始まってました。過去回想は負けフラグ、ってそれ皆言ってますからね!? みたいな状態になり、あかりが負けて、そして……。
 という感じになったところでここでネタ晴らし、というのをぶちかまし来るわけですが、そこで成程だからあいつが社長と一緒にいたのね、という納得は与えられます。んですが、じゃあどっからだったのか、というのが今一つ分からなかったので、若干消化不良です。いや、負けはいいんだけど、勝った方が爆発に巻き込まれてなかったか? あれも細工なの?
 という感じで理解力が足りずにもやってしまいましたが、対コメならこうしないと今後こいつらやってけんわな。というのは理解出来るので、ある意味では予想出来る範囲ではありました。この漫画のやりようなので、どういう風にそこに持っていくか予想できませんでしたが。それでああくるとはなあ、という。
 それにしてもこの漫画、最後まで吉良が美味しいとこかっさらっていく漫画だったなあ、という終わり方でもありました。今までも頭脳を使って出し抜くのが仕事でしたが、今回は本当に鉄火場に寄らずにいい位置取りをし続けてた感があり、この漫画のデウス・エクス・マキナとなってしまったと言えます。最後も吉良の台詞でこの漫画は締めくくられており、こういうタイプの主人公、かくあれという感嘆すら出てきます。ここまでくると、もう好きにしてくれ! ってなりますね。
 さておき。
 10巻の感想<ネタバレ感想 田口雅之 『ブラック・ジョーク』10巻 - オタわむれ 日々是戯言也blog>の時に、また6年経ったら許さんぞ! みたいなことを書いてましたが、一応6年も経ちませんでした。2年半ほどでした。DAMN IT! とはなりましたが、それでも2年半で最終巻をちゃんと出してくれたので、なんだかとっても、ありがてえじゃねえか……。とCV稲田徹してしまいます。
 そして、11巻がちゃんと最終巻として、相当の力技ではあったとしても、終わったことになんか安堵すらありました。ちゃんと、終われたというのが妙に感動的です。終わりあれば始まりもあるというか、これにいつまでも関係持ち続けていても仕方ない、という割り切りがちゃんとあったんだな、という理解がそうさせるのかもしれません。
 だから、次の作品でまた楽しませてもらえたらいいなあ、とか不遜なことを考えたりしつつ、今回はこの辺りで。