感想 石坂ケンタ 『てんしちゃんとあくまくん』1巻

 大体の内容「DQNネームですが何か(殴りながら)」。その高校にはDQNネームな立花天使という女の子がいました。その女の子は、その名前の為に色々あったらしく、しかしそれを感じさせないくらい今現在は完全な暴力の徒となってしまっていました。そんな立花さんの暴力癖とDQNネームの地位向上に関わる事になった田中阿狗摩(あくま)君のお話、それが『てんしちゃんとあくまくん』なのです。
 この漫画は上記語り口からご理解いただけるように、立花さんが名前を呼ばれると暴力のスイッチが入る、名前をバカにしたらぶち殴る! という単純に危険なキャラとなっており、その暴力を誰も止められなくて言った奴は片っ端から殴られるという、得にバトル漫画でもないのに暴力が支配する漫画となっております。とはいえ、立花さんのスイッチは分かりやすいので、触れなければかなり回避しやすいんですが、なのにこの漫画の人達は、モブ含め良く殴られてます。殴る方も殴る方ですが、殴られる方もちょっと危険を察しろ! と思うですが、殴られてる人もだいぶ興味本位らしいので、それは確かに殴られるか、とも思えますが、でも殴り過ぎぃ且つ殴られ過ぎぃ! な状況であります。これをどうにかする、と田中君は言うのですが、立花さんを全然御せてないので前途は多難であります。そんな状況なのに、立花さんに並々ならぬ視線を、というか性的な視線を送ってる生徒会長や名前に負けないようにとし過ぎて一回転倒している魔王君も絡んできて、田中君の明日はどっちだ。魔王に関しては関わらなくてもいい気もするんですが、DQNネームに対する考えなら俺は負けない! って謎の対抗意識出してるしなあ……。
 しかし、この漫画の世界はどこか狂っているというか、人間の耐久力が高過ぎるきらいがあります。立花さんに殴られた人の吹き飛び具合といい、高い所から落ちたはずなのに軽傷な田中君といい、どうなってるの!? と思ってしまいますが、そのうちそういう世界なんだよ、という顔をしだしてからが勝負ですよ!←勝負?
 さておき。
 立花さんのだぼだぼ制服で袖が足り過ぎている描写とか、小動物的な可愛らしさは、しかし実際は悪魔めいた凶暴性で人を殴るというので相乗効果が出ている感じで、魅力として立ち上がっていますが、ちょっとしたこの子大丈夫か感もあります。その辺が引っかかるとずっと尾を引く感じがあるのがちょっと気になる面ですが、生徒会長がカムアウトとしてくる辺りから暴力の出番が無くなってきて、ちょっと普通に可愛いと見えるようになってきますので、そこからの判断が重要でしょう。そのうちバトル展開突入とか正気じゃなくなる可能性もはらんでいますけどもね! でも、魔王君とは論説で戦いそうなので、大乗だろう、だろうか? そうなってくると、色狂い化した生徒会長の割りこめる隙はあるのか。
 ああ、生徒会長はいい案件ですよ。黒ロン変態というジャンル名を作ってどこかの『TEI OH-!』の琴音さんといっしょにパッケージングしたいです。変態だけど、配慮も勉強も仕事も出来るある意味パーフェクト超人。ただ、変態性だけでそれらを超克出来るという辺りでこの人大丈夫なのかなあ……と思わせてくれるから堪りません。それでいて恋する乙女だからなあ……。田中君もその乙女部分にほだされてましたが、でも待て、やっぱり変態だぞ。いいのか。お前それでいいのか。
 そういう部分とDQNネームの地位向上とが、どう絡まっていくのか。全然先見えないけど大丈夫か。そこ含みでどうなるのだろうか、この漫画。
 とかなんとか。