感想 サンカクヘッド 『干物妹!うまるちゃん』2巻

 大体の内容「干物バレピンチ! と思ったか?」。1巻の最後でいつもの家での状態、干物妹状態でクラスメイトの人に! どうなるか!? と思ったら全然普段のうまるちゃんだと思われてなかった! 良かった! というゲンゲン肩すかしと、それつまり家うまると外うまるでは実際に体躯が違うの!? という疑惑とが交錯する、それが『干物妹!うまるちゃん』2巻の端緒なのです。
 今回最初に登場の本場切絵さんによって、ついに干物妹状態のうまるさんがタイヘイ兄ちゃん以外の人に観測された訳ですが、その結果があの小さい姿は実際に小さい姿である、子供に見えるというのでかなり、え? ってなりました。比喩表現で小さく描かれているのと思ってたんですが、あれ、実際小さいんすね……。あるいはあまりに子供っぽいから子供に見えるという可能性はまだ残されているんでしょうけど、やはり小さくなっているというのが考えやすいんでしょうか。服も小さいのが揃っている辺りを見ると、どうにも実際小さいようではあるんですが、そうなるとどういう仕組みなんだ……。
 というのはさておき。
 今回はキリエちゃんが加入して、色々と出来る事の幅が出てきた印象です。キリエちゃんは子供以外には緊張し過ぎて険が出るというのもあって、うまるちゃんだけでは出来ない方向性も出来るようになった訳です。対人関係もパーフェクトなうまるちゃんでは軽く人と関われちゃうから、その辺での葛藤とかが普通には生まれない。でも、干物妹状態のうまるちゃんの事をこまるちゃんという妹と認識するキリエちゃんがいる事によって、微妙に対人関係のやり方にも変化が生まれる。一筋縄ではいかない。というので上手い手でありますなあ、と。そしてキリエちゃんは女の子なので、タイヘイ兄ちゃんだけでは出来ない、女の子が一緒にお出かけとか、女の子が一緒にゲームとかが出来るようになる訳ですよ。それが今回は上手く使われてた印象です。でも、幅が広くなっても、その幅に頼りっぱになる事無く、あくまでうまるちゃんとタイヘイ兄ちゃん中心で事が進む回も多く、その関係性も朗らかであるがゆえに、よりキリエちゃんも効果的になっているの特筆点。この辺のバランス感覚は素直に上手いなあ、と言える所です。
 さておき。
 直球に好きな回の話をすると、夜にお出かけするだけの回、その21「うまると深夜のコンビニ」。本当にただお出かけするだけなんですが、なんというか夜の空気というか、あの何とも言えない静謐な感じが出ており、こういう空気の作り方は昔から上手いのがサンカクヘッドせんせだったなあ、と理解出来たり。2013年12月22日現在でニコニコ静画で見れるので、試しに見られるとよろしいかと思います。それと、逆に朝に散歩するその31「うまると散歩」も良い感じ。これも朝の良い空気感が出ておりました。特にベンチに座って、という辺りの空の高さが印象的です。そういえば、こういう漫画描けたんだなー。
 キリエちゃんがいた回ではキリエちゃんと海老名ちゃんとで買い物に行く回が好みです。女の子が買い物したり着替えたりするだけで可愛いってのは重要です。この漫画だから余計に。というか、この回とかは今までのサンカクヘッドせんせから考えると破格なレベルで、隙間に変なボケとかかましてないんですヨネ。『干物妹!うまるちゃん』自体、ギャグというか躁な部分がとても少なく、ギャグ回でなければ生きている資格がない、というレベルでギャグ漫画を描いてたはずのサンカクヘッドせんせが、こういう日常系というか、何気ない時間というのを描く、というのがわりと信じられないんです。読み切り版はやっぱりギャグを込めようとする力が見えるだけに、連載になってのこの辺はどういう心境の変化なんでしょうか。あとがきにあるうまるちゃん出来るまでの内容からすると、サンカクヘッドせんせが考えたらやっぱり変なギャグ漫画で受けが悪い、というのは変わらないようなので、ブレーンがいるか、本当にサンカクヘッドせんせが覚醒したかの二者択一なんですが、どうなのかなー。覚醒したなら、今後も高いレベルになってくるんでしょうけど、ブレーンだとかみ合わなくなったら、だからなあ。本当に、どうなのかなー。
 とかなんとか。