感想 FBC 『スイーツどんぶり』2巻

 大体の内容「これが! あたしたちの! 料理だ!」。と言えつつも、料理バトルというとは一体……。という疑心暗鬼がふと湧くくらいによくよく見るとほとんど料理らしい料理してない料理漫画、それが『スイーツどんぶり』2巻なのです。
 最終巻なので軽く総まとめといった趣きの発言をしていきたい所ですがしかし。一度まんがタイムきららMAX誌で読んでいるのを差っ引いても、この漫画の持つパワーには圧倒されます。この巻中盤から始まる怒涛の展開! ほとんど料理対決というより爆発対決になっているし料理ほとんど出てこない料理バトル! 酒井さんにまつわる秘話から始まる壮大な計画! 明かされる謎! そして始まる最後の戦い! と言うかそれ伏線って事でドヤ顔されても困るんですけどー!? それらまとめてこれから見られる人は幸いです。連載時の我々の戦きを、一気に感得出来るのですから。若干濃い過ぎるので一気に摂取すると脳がくるくるぱーになりそうかもしれませんが。
 さておき。
 この漫画には紆余曲折があったのはこの2巻カバー下の文章を見れば一目瞭然ですが、にしても本当に迷いというか、どうすべ? ってのが強かったんだなー、という印象。確かに、それを踏まえてみればここはそうなのかー、というのがよくよく理解出来ますというか出来ました。恐ろしいほど見えてきました。そういう副読物が付属された2巻は、だから私のような変なスイどんファンには聖典であります。ここでおまけ的に漫画描いてこなかったのはどうなのか、という人もいるでしょうが、俺はこれでいい! むしろこれでない方がおかしいですよカテジナさん!←カテジナさん?
 さておき。
 そんな訳で色々あったけど無茶だった2巻なのですが、全体的な流れは大変面白く、且つどうなるんだろう感も強くてハラハラしましたが、しかし個人的には最終回がちょっと肩透かしかなあ、という気持ちを持っていたりしたんですよ、不遜にも。連載時は本当にこれで終わり? お前それでいいのか? って思ってしまってました。でも、今回まとめて読む機会、2巻を一気に読む機会を得て、その考えが変わりました。うん、このエンドしかない! という方向に。連載時はどういう風にはじけてくれるのか、という期待を個人的にかけ過ぎていて、それが毎度越えられてたせいで膨れ上がっての最終回だったので、そりゃ肩透かし感を持つのもしょうがないのです。あれだけハードル上がってたら、いつかはへち当たりますよ。しかし、今回の再読すると、最終回手前の回二回で登りつめたテンションを、すーっと落ち着けてからのこの展開は大変口当たり優しく、沁み渡るのでありました。それでいてなんか頭がおかしい(一応褒め言葉)ノリはきっちりしており、物語を畳むという言葉がこれほど似合う最終回もそうないのでは、と言う位にするっとまとめられつつ、最後に風呂敷が広がったりも。いいわあ、このエンド。と言う訳でこれを単行本で読める人達は幸いですね……。何度も言いますけど、このノリを一気に読み切れるんですから。連載時で毎月どうなるのー!? していた人からすると俺達はこれをリアルタイムだったんだぜ? 面出来ますが、でもあの待ちきれない苦しさとはち切れる期待感による苦労を思い出すと、どっこいどっこいでしょうか。
 さておき。
 【今月のジャッカル】でジャッカルこと柿崎志保子を追いかけていましたが、今再読してもジャッカル可愛いですヨネ。酒井さんはカバー下でも語られますが元々はキャラ薄いかったですし、栗原さんは序盤は変なキャラで今でも余計に変なキャラ付けになっているので、初見でジャッカルを見ていこうと選んだ僕の慧眼を褒めてやりたい所だあ(CV島田敏)、ってなるくらいジャッカル可愛いですよ。この巻では最後に大きな役割を果たすんですが、そこに対する心の準備全くなかったというか、元々伏線でも何でもない所を無理やり伏線化してこられたので、「それ伏線として昇華しますか!?」感が強かったんですよ。あれはねえ……。でも逆に、これだけ方向性が迷いに満ちていたのがちゃんと一作としてまとめられた事実の方が、あの途方もないテンションより明記されるべき部分、FBCせんせが素晴らしかった部分として立ち上げる必要性すら感じます。これこそ、タツジン! 事案ですヨネ。
 ともあれ、どんどんと無茶な方向に進んだこの漫画も、綺麗に落ちがついて終了しました。その事実だけで満足出来るものがあります。これが出来たMAX誌は懐が深かったんだなあ。その懐深さついでに、またFBCせんせの連載が行われたらいいなあ。今度は無茶なハードルに挑まないで、もっと違う側面を見せてくれたらなあ、と思うのでありました。