感想 パイン 『きしとおひめさま』2巻

きしとおひめさま (2) (まんがタイムKRコミックス)

きしとおひめさま (2) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容「大空洞でのお仕事」。世界に魔法が戻ってきたこの漫画世界でこれからどうなっていくのか。という部分を端々で仄見せているものの、基本はゆるめに新たになる世界を過ごす漫画となっているのが、この『きしとおひめさま』2巻なのです。
 基本的に魔法の帰還した世界、というのを見せつつ説明しつつ、ちょっとずれ気味に世界が更新されていく中での研究所生活というのをしていくこの漫画。その謎と言う部分は、それはもう大変色々あります。今巻で魔法についての話は、どういう状態なのかは出ては来ているんですが、それではそれが戻ってきてどうなるのか、というのは未知数ですし、幽霊のような状態のお姫様の語りたいけどしゃべれない事とはどういう関係があるのか謎ですし、そもそも騎士ってどういうのから生まれてるのかも不明です。どこで育成されたんだこいつら。本当に、某インキュベーター台詞で言うと「訳が分からないよ」です。でも、そこは常に何かあるように匂わせつつ、でもしれっと変わってしまった世界を、でもゆったりと提示し続けていきます。全体的にテンポが独特で、真面目な顔が続かない癖があり、それがまたこの漫画の味わいとして濃く深いんですが、逆に言うと変なノリなので合わないととことん合わない、いらいらすらするだろうなあ、というノリです。このノリの中、謎はちゃんと解明されるまでこの漫画続くのかという一抹の不安もありますが、途中で終わってもなんとなく意味ありげであったな、で終わりそうな感もあり、でもどうせならきっちり最後までやっていただきたいなー、とも思ったりもします。もやもやしない終わり方してくれれば……。
 さておき。
 この漫画の人間関係は大変ニヨニヨ出来ていい物です。つくよさんと速人さんとクシニアさんのあんまり主張し過ぎないけど実際三角関係なとことかいいです。見てきたクシニアさんと、昔のなじみのつくよさん、どっちを取る! という関係ではないのが心地いいですが、つくよさんと速人さんの関係があまりに強固なのでクシニアさんが若干可哀想です。とはいえ、クシニアさんもそれで負けるか、って感じでもあるので、今後もこの関係はニヨニヨ出来そうです。私としましては、負け濃厚なクシニアさんが好きなんで、その動向がニヨニヨ出来ればそれでいいんだ……。
 さておき。
 この巻で一番旨味があるのは羊の回。この世界が一体どうなっているのか、出てきた者達とはどう対処していくのか、その中でつくよさんがどういう役割を果たしていくのか、というのがきっちり出ているいい回であります。というか、出てくる魔物(?)って幅広いんだなー、というのも楽しめました。とはいえ、知的な部分のある魔物(?)とかはまだ出てこないですが、そういうのもあるのかなー。その辺もきっちり出てくるまで続いて欲しい所です。