感想 秀河憲伸 『今日のユイコさん』5巻

 大体の内容「昨日の君がもどかしく、今日の君にドキドキして、明日の君には敵わない」。帯からひかせて頂きでしたが、とにかくそんなユイコなのが、『今日のユイコさん』5巻なのです。
 アイエエエエ!? 最終巻!? 最終巻ナンデ!? とリアリティショックを受けてしまうくらいに、この巻は最終巻です。まだまだ続けられそうな雰囲気もあるというのに、最後はぱっぱと進んでいき、ユイコさんの「明日はどんな一日かしら」で終わってしまいます。はっきり申しましてまだまだ見たかったんですけれども、トモヤの嫉妬イベントもあったり、それを解決もあったりしたので、まとめとしてはいい、いいんですが、でももっと見たかったんですよ! この巻中盤の進路問題の解決の感じから長くないとは思ったんだけど、でも、もうちょっと見せてくれてもいいじゃないですか! 二年生の話も見たいし、進路問題がのっぴきならない状態も見たかったし、受験勉強も見たかったし、大学生活も見たかったし! 色々見たかったんだよ! もっと見せて、見せてくださいよー!
 とはいえ。全体的にユイコさんとトモヤがする事は大体済んでしまっている感もあります。キスもイチャコラもやってたし、揺れ動く気持ちも見せていたし、後はやるくらいだろう。って仲ですからね、あの二人。そっちに向かうことが結局無かったのは、ある意味ではいいことであったのかも。とは思うですが、それくらいやってくれても! とも思ってしまうのでファンは面倒くさいですね? いや、でもする時のユイコさんがどうなるのかとか、考えない訳が無いじゃないですか。そこまで行ったらどうなっちゃうんだろう、とかですよ? 考えますよ? 考えますよね? と誰に対してなのかの問いかけをするくらいには見たかったんですよ。本当に!
 さておき。
 今回はユイコさんもいい感じに可愛らしくなっており、それを感じるだけで十分に楽しい、嬉しいのです。過去の馴れ初めの話での鉄面皮な感じながら気持ちが少しずつ移ろってな場面もいいし、友達と遊んでこの時を忘れないってなるのもいいですし、さらっと実はわりとマジなプロポーズ的な発言してたりするとこもいいし、最後の子供二人は欲しい! って言いだすプロポーズも素晴らしい。うん、これこれ! これが見たかった! という嬉しみなのですよ。元から通じてはいたものの、ユイコさん側からはそういうアプローチが少なかったのが、ここにきて、どん! と出てくれたのがもう、堪らない。今後もまだまだハードルはあるんだろうけど、二人なら乗り越えてくれるんじゃないか。そういう気持ちになるのです。二人の道行に幸あれ。そう思うのでありました。