感想 高尾じんぐ 『くーねるまるた』6巻

 大体の内容「マルタさん、食べる!」。というのは毎度のことですが、今回もマルタさんは食べます。作って食べます。それが『くーねるまるた』の基礎行動なのです。
 今回も根本的にマルタさんが食べるだけの漫画ですが、その様相も特に変化はございません。そこで変化が無くて大丈夫か? って竹内声で言いたくなるのが人情ですが、そこで変化がないのがむしろこの漫画の売りです。四季折々でマルタさんが色々な物を作ったり貰ったりして食べる。その部分こそこの漫画の肝でありまして、そこが忽せにならないからこそ、我々は安心してマルタさんが食欲を満たすのを見る事が出来るのです。この辺は、おっさんがただ食うだけというのに人気でドラマ化までして更にドラマも人気でという『孤独のグルメ』と軌を一にしていると思います。その点は高尾せんせも理解しているのは、論を俟たないかと思います。
 さておき。
 今回美味そうだなー、と思ったのは大体そうですが、手作りアイスクリーム、キーマカレー、かぼす締めサンマとわたみそが三大であります。
 手作りアイスクリーム回は“アイスクリームのうた”とか懐かしいなー、というのと、昔作ったアイスクリームと同じレシピで味も想像できて、美味そうであります。ですがそれに拍車をかけるのがあの味に、更にラムレーズン! というのは嬉しい不意打ち。それは食ったことないから、どんな味だったんだろう、と妄想させられます。手作りラムレーズンだすよ。中々レアだすよ。それが乗った手作りアイスクリーム。うーん、美味そうだ。
 キーマカレーの回は目に付く物がカレーという状況というのと、その前にカレーパン食べてるし昨晩もカレーだった! という状況が積み重なってのそれでもカレー! となる所が良かったです。それでも、目先を変えてキーマカレー、それもらっきょうをカレーに混ぜて、という変わり種なのが流石のマルタさん。食に対する貪欲さがきっちり出ております。
 かぼす締めサンマとわたみそは、特にわたみそが美味そう。いいわた使ってるのか、生臭くなくて味もしっかりあるらしく、それがしょうが、ねぎ、醤油、味噌で倍率ドン! 内臓の美味さを知るとそういうのが大変美味そうに感じるようになるんですよね。魚の内臓は癖が強いから、それが食べられるようになるというのは大人な証拠ですし。かぼす締めも美味そうだ。さっぱり食べるサンマというのも心踊らされます。
 他には神永さんが貰ってきたカキをフライにする回は結構面白かったです。カキ、と書きましたがそれは牡蠣ではなく柿。それをフライに!? という神永さんの発想と、意外と食える、ウスターソースと合う、というのでアイエッ!? ってなります。いつものレシピの部分も他のではなく柿フライであることから、本当においしいらしいと分かって、それで更にアイエッ!? ってなります。一回作ってみたいな、これ。
 とかなんとか。