感想 柳田史太 『トモちゃんは女の子!』1巻及び2巻


柳田史太 トモちゃんは女の子! 1
(画像、文章共にのamazonの物理書籍のページ)


柳田史太 トモちゃんは女の子! 2
(画像、文章共にのamazonの物理書籍のページ)

 大体の内容「トモちゃんはこんなに女の子だと言うのに(CV:若本規夫)」。智さん(以下トモ)はちょっと男の子っぽい、気風のいい女子高生。お年頃なので好きな殿方がいらっしゃいます。それが淳一郎(以下ジュン)という幼馴染。一時期一緒の学校ではなかった頃もありましたが、中学高校と青春期ド真ん中では同じ学校。当然、ジュンのことが気になっちゃうトモさんですが、ここで一つ問題が生じました。それは、ジュンがトモさんのことを男だと見てしまっていると言うことです。ということで、幼馴染にモーションかけるけど気が付いてもらえない系コメディ、『トモちゃんは女の子!』がスタートする訳なのです。
 トモさんのことを親友、それもダチと読むやつなジュンのお前ー! 感が異常なこの作品ですが、それについてはトモさんにも非がある、というと角が立ちますから、ちょっと女の子っぽくない点がある、としましょうか。とにかく、そういう部分もあるのがトモさん側の問題です。メンタリティは乙女なのに、色々と行動が男らしい所が散見されます。ちょっと怖そうな雰囲気、でも気さくで気風もいい。空手は女子空手部では相手がいないので男子空手部なのにやっぱり相手がいない。ジュンと喧嘩してガチ殴り合いする。スカートにスパッツスタイル。友達が困っていたら見過ごせないけど気風の良さのせいで実力行使になってしまう。など、女の子には向かない、粗暴な雰囲気を持っていたりするのであります。服装の面とかも女子力全くないので、それでなんでジュンを落とせると思うの? と友達の群堂さんに言われる始末。実際の所、ジュンの前で女の子を出すことがほとんどなかった、今の関係を崩すのに二の足を踏んでいたのも分かるんですが、でも、本気なら踏み込まないとなあ、とは思わされます。
 対して、ジュンはトモさんのことをどう思っているのか? というのが当然立ち上がります。初手では親友、ダチだと思われているという道筋が見えるんですが、この漫画が進むにつれて、どうもジュンはトモさんのことを女の子だと思うのを意図的にしないようにしている節が見られます。スパッツなしのトモさんを見て両頬張ったりしてましたし。その辺はどういう思考なのか、というのまでは今の所つっこまれていません。そこに好きという気持ちがあるのかは分からないですが、トモさんの空手の実力を、実戦的なそれでは確かにジュンが有利でも、競技空手ではトモさんの完成度が相当である、と言う部分で一目置いている、という所などを見ると、憧れのライバルという立ち位置なのかもとも思えます。そこに好きを入れていいのか、というのを考えているのかもしれないのです。この辺を、トモさんは乗り越えられるのか、というのが今後の肝になってきそうです。
 ということで、この漫画はトモさんが周りの助けを借りながら、ジュンを攻略していくというのを主線にして、それ以外の人間関係やらキャラクターやらが横糸としてあります。個人的なことを言うと群堂さんが黒ロンで辛辣でいいですね。Mっ気を俄然くすぐられます。でも、そんな群堂さんがジュンと付き合っていたことがある、という横糸は流石に吃驚。今は犬猿の仲なのに、一体なにが、というのはきっちり作中で語られますが、あれはジュンが悪い。完全に一緒に遊ぶというのに使う体力リソースがトモさんナイズドされているんだもの。その辺も含めて、群堂さんはジュンが嫌いなんだろうな。とも。お前遊びたい相手決まってるやんか! というね。って、それだと今もそれなりに気にはなってるのかしら。と邪推したくなりますが、そう言ったら群堂さんは相当冷たい目で見てくれるだろうなあ。ふふ。
 とかなんとか。