感想  さおとめあげは 『ニンジャスレイヤー グラマラス・キラーズ』3巻


さおとめあげは ニンジャスレイヤー グラマラス・キラーズ3<ニンジャスレイヤー グラマラス・キラーズ> (B's-LOG COMICS)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「おお見よ! グッドルッキングなニンジャの青春である!!」。帯の句が素晴らしく内容を表していたのでそのまま頂きました。と言う内容なのが、『ニンジャスレイヤー グラマラス・キラーズ』3巻なのです。
 原作で最も青春アトモスフィアな一作、『ザイバツ・ヤング・チーム』がこの巻の大多数を占める訳ですが、そこはグラマラス・キラーズ。巧妙にBL的エッセンスをぶちこんできます。そもそも男が二人いればBLに出来るのでは? という思考のもとにあるこの漫画において、それが濃厚な青春アトモスフィアなこの作なら、当然こうなろう、という流れであります。とはいえ、今まであった濃厚なBLエッセンスは、実はこの回ではわりと控えめ。そっち方面的な扱いが出来るドモボーイ=サンとクアース=サンがいると言うのに、絵的に近いことはあるけど、気持ち的にBLな流れは無い。んですが、でも、控えているからこそ湧きたつそれがある、というのは皆さま方におかれましても心当たりがあるのではないでしょうか? この漫画においては、それが顕著に表れていると言えます。原作を守りつつ、でもBLしたい。ならどうするのか。と言うのに対する回答であるかと思いいます。まあ。個人的にはドモボーイ=サンとクアース=サンのそれより、最後にぽっと出してきたダークニンジャ=サンがドモボーイ=サンになんか飲ませてる絵がとてもエロティックに見えましたし、ドモボーイ=サンとミラーシェード=サンの共闘もいいものがありましたので、むしろそっちが本道なのかしら、とも。とはいえ、今までの濃厚さが嘘のようではあります。しかしだからこその味わい。その方向性において、さおとめあげはせんせは底知れないものがあります。
 この巻ではもう一つ、話が組み込まれています。それが忍殺でも屈指のネタ話『ノーホーマー・ノーサヴァイブ』。本当にこれはものすごい回なので、知らない方はまとめwikiなどでしっかり確認していただきたい所ですが、ただでさえアトモスフィアがおかしい話なのにそれを一話に濃縮するという、濃縮還元の仕方が狂っているのが、この巻における『ノーホーマー・ノーサヴァイブ』なのです。128点取らないと負ける! でも出塁も3アウトも駄目! だから延々とホームランを打たないと駄目! という書いてて何言ってんだ感満載な話ですが、それがさおとめあげはせんせの手にかかると、弩級のサブスティテュートとフォートレスの最期として仕上がります。オタッシャ空間での野球やろうぜ、が大変味わい深いのですよ。この漫画のオタッシャ空間の汎用性の高さと言うか、末期がしっかり惨殺されているからこそ、凪の空間として立ち上がっているのが興味深いんですよ。これを見ると凶悪なニンジャだったというのが一瞬忘れてしまえるのが、本当にもう。なんか愛おしい漫画だよなあ、これ。
 とかなんとか。