感想 『ガールズ&パンツァー コミックアンソロジー SIDE:知波単学園』


ガールズ&パンツァー コミックアンソロジー SIDE:知波単学園
(画像、文章、共にAmazonのページ)

 大体の内容もなにもアンソロジーだよ! ということで、ガルパンアンソロSIDEシリーズ、知波単編なのです。知波単というと何を置いても吶喊ですが、作家人全てが吶喊要素をきちりと入れているという、ある意味ちゃんと分かっている仕様がこの<SIDE:知波単学園>の存在を華やかに彩っていると言えるでしょう。
 さておき。
 もうちょっと知波単要素について詰めてからどれが好きだったかというピックアップ!していきたいと思います。で、知波単の要素はまず先に書いた吶喊、次に西さんイケメン、次に福田さん可愛い眼鏡っ子、そしてアヒルさんチームとの関係性。という風になるでしょうか。どの漫画もこの辺りのバランスを好みで上げ下げして、作品を形作っています。個人的には西さんイケメンが
出ている漫画が好きだったりしますが、それはさておき、予告通り個人的に好きな作品、ピックアップ!

チョモラン『知らねーけど波は好きだぜ単純だからよ』

 単ページ一発ネタ四発。どれもインパクト勝負。だが、それがいい
 ページ数は少ないものの、初手の西さんの「吶喊ッ!」がインパクトが強い一品。その言い訳からの次のページがなかなか面白い。若干うすた京介先生の雰囲気があるのがいいですね? 後、西さんの「不意に顔をのぞかせる箱入りお嬢様成分」がたまらなくいいものであります。単に横文字に弱いだけという気もしますが、それはそれ。でも、「吶喊ッ!」のイケメン具合との齟齬が素晴らしくいいですね?

ツネオ『転進・大洗へ!』

 短期転校届が普通の転校届で実際大洗へ! ということで同じようにミスったアンツィオの面々と大洗生活する話。
 折角なので西住さんから色々と仕入れよう、とするも結局バレーしようぜ! ということに。バレー部=アヒルさんチームとの旧交を温めるのでありました。不意打ちの吶喊というフェイント覚えたらしいんですがそれがきっちり使われる日は来るんでしょうか。後、干し芋パスタに翻弄されたり、普通にもう一度の転校届を出し忘れてるアンツィオが愛おしかったり。戦車持ってくるの忘れていたのはどちらもだけど、そこの点では知波単に水をあけられるのか……。さすがアンツィオ……。

HRD『西側にゅううぇいぶ』

 福田さんがサンダースに偵察に行って、帰ってきたらアフロになっていた。という話。何を言っているのかわからないと思うが案件です。
 福田さんがサンダースで西部劇やアメリカ文化諸々にかぶれる、まではいいにしてもそれがあっという間に人口に膾炙する知波単の貪欲さというか、染まり易さといか、ぶっちゃけチョロさが大変愛おしいものがあります。最終的にサンダースまでノリノリで西部劇の装いでやってくる辺り、ここにはバカしかいないのか、という気持ちにさせられます。そりゃ西さんも困り果てるわ。でも、最後は結局突撃。消せないよ熱く沸き立つ知波単魂。

都尾琉『アヒル・ウォー』

 知波単と練習するアヒルさんチーム。突撃するな、というのに突撃するのでどうしようかと思っても結局どうにもならないのでありました。
 知波単とアヒルさんチーム話ですが、突撃ばかりじゃなくきっちりと後退しろ、という話が出るのは珍しいかなと。それをアヒルさんチームが言うのが味わい深いですが、口を酸っぱくして言っても結局何も通じないというある種知波単の闇が見える内容でもありました。最終的にバレーするか、になるんだから本当に大変です。そりゃアキさんも通じてねえ……って戦慄するわ。

ホリ『ノリと勢いと突撃と』

 知波単とアンツィオの練習試合の話。突撃だけで駄目なら、ノリと勢いがあればいいじゃない。そういう話、かと思ったら。
 あれですね、ワタクシ、やっぱりアンチョビさんとかがいつか自分がいなくなるという、学校物だからこそある部分が提示されると大変弱いんですよ。これもその部類で、知波単との練習試合を組んだのも、自分がいなくなってもやっていけるように、地力をつけてほしい、というアンチョビさんの考えからで、というので西さんとアンチョビさんが色々ボケたりボケに気づかなかったりで話すのが堪らなくいいものでした。劇場版でのアンツィオの役割、って地味だけど重要だったよなあ、というのもフォローされてて、よりいいものでした。

総評

 やっぱり吶喊、突撃してこその知波単というのがしっかりと全員共有しているイメージなんだなあ、と実感させられます。ある種強いイメージだからこそ、そこをどうこねくり回すか、が出たアンソロだったかと思います。やっぱり強いイメージは使いやすい部分と使いにくい部分があるんだなあ、とかなんとか。