感想 九井諒子 『ダンジョン飯』4巻


ダンジョン飯 4巻
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「対決、炎竜!」。ということで、この漫画の一つの区切りであるところの、炎竜との対峙が基本となるのが、『ダンジョン飯』4巻なのです。
 この炎竜との戦いはこの漫画のメルクマールであります。炎竜にファリンが食われてのがこの話の発端でありますから。しかし、前回は寝込みを襲う形だったらしいのに、今回は前回より仲間はいないは行動期だわで、危険度が跳ね上がっている、というのでどう倒すかという話になっていきます。
 これがいい。こちらのリソースの無さをどう解消していくか、という作戦の組み立てと、それが当然のように瓦解した後のフォローアップという部分が個人的に大変好きなものなのですよ。特に瓦解後の展開がお好みです。炎竜の足元で非常にバタバタした後、何とか逃れてから素早く決断するライオスと、その決断の無茶さとが相まって、大変面白いものでした。というか、足を食われるのを計算に入れて、という辺りがライオスの危険さ加減が良く分かる所です。素早い決断とその実行を見れば指揮官として有能だった、と分かりますが、その分、足を食われてでも、という発想の危うさもあるわけで。モンスター食したかったという発想と同じような無茶さですよ。成程、サイコパスと言われたのもあながち間違ってはいないのだな、とか。
 さておき。
 今回の料理の方は少量で当然しずる感は少な目。でも、その発想は素晴らしいものがありました。
 耐熱に優れる炎竜の体をピザ窯に! そういうのもあるのか。というのが本当に素晴らしいです。その発想はなかった!
 でも確かに自身の体から炎を吐く竜ならそりゃ耐熱に優れている訳で、ついでに炎を吐く為の物も体内にあるから炎の維持も楽である。というので本当に感心するネタでありました。本当にモンスター食を考え抜いた発想!
 さておき。
 今回で重要なのは、ライオスたちの潜っているダンジョンのお話です。
 ダンジョンの方に人間などに対する不死の魔力が掛かっている、というのは3巻でも出されたネタでしたが、今回はそれに対してさらに突っ込む内容が、炎竜戦前に地上での話でなされます。あまりにひどい状態だと復活するには力のある魔法使いが必要、というのもですが、あのダンジョンにその不死の魔法の元、あるいはその魔導書があるのでは? というのがじわりと効いてきます。そんなものが!? というのと、そういうものがあって更にダンジョンを作った意味は? というのが気になりますよ。
 普通に考えて、不死の魔法が出来ただけでも十分であると思うんですよ。それで満足すると思うんですよ。でも、それだけではなくダンジョンも作ってそれに不死の魔法をかける、というのが膨大な手間があるわけですよ。それをして、ダンジョン製作者は一体何を求めていたのか。その辺りがこの漫画の重要な部分になってくるのか? とか。あるいは、前の魔力生成用のダンジョンの話からして、今潜っているダンジョン自体が不死の魔法を使うために必要だったのかしら? とかなんとか書いてこの項を閉じたいと思います。