ネタバレ感想 しの 『サキュバスさんのはつしごと。』1巻


サキュバスさんのはつしごと。: 1 (4コマKINGSぱれっとコミックス)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

大体の内容「清井操! 清いのは名前だけにしろ!」。という、ある種男の夢のような状況に何故かなびかない主人公、操に対してぐぬぬ力を高めてしまう漫画。それが『サキュバスさんのはつしごと。』なのです。
何が夢野久作じゃねえ夢のような状況であるか、というと、題と表紙絵からわかりましょうが、この清楚っぽさ全開の、しかし正体はサキュバスさんなのが、操の前にやってきていることです。悪魔の世界の割り振りは気質や性格ではなく就活の加減だそうで、その波に飲まれてこの清楚全開のこの子、リッタさんはサキュバスになってしまったのだそう。それでその初仕事が、操のところ、という塩梅なのです。
もうそれだけの内容でエロゲ脳だとてきめんにノックアウトなのですが、だからこそ毎夜迫ってくるのに襲わない操に対してしっとの炎がめらめらとー! になってしまうのです。てめえ、男爵ついてんのか!
というのはやっかみ半分であります。操は操で操を守る気骨のある男です。ついでに、リッタさんがあまりに清楚なのでそれを獣欲のままに、というのは己の信条に関わるらしく、寄られても邪険にするだけで手を出しません。それゆえに、妙なパワーバランスで夜の駆け引き、主に就寝するしないが繰り広げられることになるのです。
さておき。
清楚系サキュバス、というのはそこそこある設定ですが、そこにど純情でど処女で清楚までどが付く、となると中々お目にかかれない怒涛のコンボであります。それでいてボディの方はしっかりとサキュバスで、サキュバスの仕事は通ったのも納得です。あるいは、操の家が初仕事の場でなければ問題なくサキュバスとして大成したのでは、と思えるポテンシャルなのです。
でも、もしそうなるとかなり、どがつくくらい外道な漫画になってしまいます。
そしてこれはぱれっと漫画なのです。
萌え4コマ漫画なのです!
当然んなこと出来るかあ! な訳ですが、それゆえにこの漫画のいかがわしさと清楚さの絶妙なる共存という謎めいたワードが勝手にリリックとして出てくる、微エロ系漫画の新たな地平線となっているのです。
というかですねえ、リッタさんが本当にかわいいんですよ。エロかわいいという言葉はそれなりに聞く機会がありますが、しかし実質的に使う局面はそう多くはないですし、それは結局エロいんだろ、で回収される話な訳ですよ。
だが、リッタさんは本当にエロかわいいのです。おそらく、エロかわいいという形容詞は彼女の為にあるのだと思います。エロというダイレクトな欲情の視点と、かわいいという欲情とは全く違うエモーショナルな感覚。それの共存。それがまさしく成っているのが、リッタさんなのです。
すなわち、ここにリッタさんを迎え、エロかわいいは達成されました。と家弓家正声で断言出来るくらいの、エロかわいいの体現者こそ、リッタさんなのです。
そのリッタさんと操の微妙な力加減を見る漫画、それが『サキュバスさんのはつしごと。』なのです。
とかなんとか。