ネタバレ感想 内藤泰弘 『血界戦線 back 2 back』5巻


血界戦線 Back 2 Back 5 (ジャンプコミックスDIGITAL)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

大体の内容「女医は辛いよ。他一編」。ハマー&デルトロ担当回とお久しぶり幻界病棟ライゼスの二本立て。それが『血界戦線 back 2 back』5巻なのです。
ハマー&デルトロ担当回は独特なハマーの持ち味が存分に出てしまったのでわりと素っ頓狂な回でありますが、それでいてシンプルな構図なので非常におかしな読後感を得られます。ここを掘り下げるのもありですが、今回はお久しぶりの幻界病棟ライゼス話、『My Life as a Doc』にスポットを照射します。
ライゼス話はZ級指名手配犯、機械公ボルドイミンスク(以下機械公)が警察やライブラのの手から逃れる過程で、ライゼスに到着してしまうところから始まります。そいつやべー奴なんだよ! という警察の言葉も、全ての命を救う、というライゼスの使命の前には空虚に漂うのみ。とはいえ、相手が相当の悪党なので、ライブラ面々が機械公の病室に詰める、という形に。途中、機械公に恨みのある者の犯行が未然に防がれたりしつつ、退院の日を迎えて……、という流れです。
この回で見どころは、ルシアナ先生の分裂体の役割分担の挿話の的確な投入と、機械公強過ぎねえか? という二点です。
ルシアナ先生の分裂体の役割分担、というのは、分裂していても一つである、ということで、寝る役とかを割り振れる、という便利過ぎるんじゃねえか案件のことです。この役割分担を、中盤に見せた後、後半に差し掛かる辺りでそういう役割分担もあるのか、という形で見せてきます。この、先に役割分担ができるというのを見せてからの、ある役割分担の開示へと向かう流れが本当に巧みなんですよ。治す機械みたいじゃないか、とか言われても全く表情を崩さなかったけど、ちゃんとそういう気持ちもある。でも隠している。というのをそこで、ドンとくるからこそ、最後の機械公との戦いもぐっと気持ちがこもるのです。
それはさておき、この分裂体というのは、やっぱり『魔界都市新宿』のメフィストクローンがたくさんいるというやり方のオマージュなんだろうなあ、と思っていたんですが、それよりもまた違う方向が出来る、分裂体が別々の行動、睡眠とか、をとれ他の分裂体に影響するというのが個人的にはテクいな、と思いました。発想元はありつつも、ちゃんと自分のものとして仕上げる。まさしくプロの仕事と言えるでしょう。はい、なんか変な目線です!
さておき、機械公の強さヤバいという話に移りましょう。
機械公、何がヤバいって分裂して弾丸回避したり、機械を取り込んで際限なくでかくなったりする、のではなく、一度見た技を二度は食らわないという、どこの聖闘士だよお前! という観察力がヤバいです。
頭取の針を、自分で食らったわけではない上にちらっと見ただけで対処の方法をしっかり身につけていたり、クラウスさんの999式を未遂とはいえ結構ダメージ食らいつつも次は大丈夫だ、と自信をにじませていたりと、聖闘士が如何にヤバかったのかを違う漫画で教えられるという亜空の展開を見せつけてきます。敵が持っていると堪ったものじゃないスキルですよ。最後に初見技が決まってなかったらヤバかったにも程があります。あれも初見じゃなかったら対処出来そうな辺りが本当に。こういうごっついのをさらっと使ってしまうこの漫画、嫌いじゃない。どころか大好きだ!
ということを、『血界戦線 back 2 back』5巻の感想とかえさせていただきます。