感想 ジェントルメン中村 『セレベスト織田信長』1巻


セレベスト織田信長 (1) (リイドカフェコミックス)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

大体の内容「これが貴賓(セレブ)の上級(ハイクラス)、セレベストだ!」。セレブの上を行く、セレベスト。そんな中にあってセレベスト世界統一を画策する織田信長の覇道を見る漫画、それが『セレベスト織田信長』なのです!
金持ち(セレベスト)喧嘩せず、という言葉があります。余裕があれば喧嘩する必要が無い、という意味にとられがちですが、さに非ず。セレベストにあっては戦いは喧嘩ではなく、おもてなしによって執り行われるのです! ということで、この漫画はバトル漫画です。もうさっきから言っていることが八面六臂の振れ幅でありますが、しかし事実なのでどうしようもないのです。おもてなしでバトる。それが『セレベスト織田信長』という漫画の神髄なのです。
さておき、おもてなしでバトるとはどういうことか。それは相手におもてなしを仕掛け、それで心酔させた方の勝ち、というバトルとしての軸はありつつも、血は流れないという成程スマートじゃねえのというものです。そのおもてなしの上がり方とそれを受ける織田信長の斜め上に突き抜ける対応を見る漫画なのです。1巻では日本のセレベストが織田信長に挑む! という形で織田信長が基本受けとして立ち回ります。そしてそのおもてなしを受け切って、それ以上のものを相手に見せて、相手を心酔させるのです。この形はこの漫画の基礎形ですが、これは2巻以降でも同じように展開されるのでよく覚えておきましょう。
授業はさておき。この漫画のおもてなしの方向性は、流石にセレベストというだけあってランクが違うんですが、違い過ぎてちょっと衛生観念がくるくるぱーなのが難点です。一話目のヴィンテージ日本酒の件からして既にそれ衛生的に! なんですよ。でもその辺を全く気にしない。この部分こそセレベストの器のデカさなのかな、と小並感を思いました。いやでも、腹下したりしそうなんだけど……。
心配はさておき。この漫画の面白さは、先にも書いていますがおもてなしの斜め上具合です。というかどういう脳髄を得たらメンデルスゾーンなんて考えられるのか。そしてそれを上回るネタ信長狂騒曲が浮かぶのか。その上っぷりこそ、この漫画が際物でありながらも新たな漫画世界の胎動を感じさせるところです。全く予想できないおもてなしと、それを上回る織田信長。そのがぶりよつを、血を流さない形で行われる。その攻め方こそ、この漫画の良さである、と思いつつ、この項を閉じたいと思います。