チョモラン 『あの人の胃には僕が足りない』2巻

あの人の胃には僕が足りない(2) (モーニング KC)

あの人の胃には僕が足りない(2) (モーニングコミックス)

  大体の内容「いきなりお隣さんですが、それでもこれはおねショタ漫画!」。相変わらずのおねショタ力が半端ではなく、この子たち、可愛いな。可愛いなあ! ってなってしまいつつも、ちょっとすんなりいきすぎなのでこれは一波乱あるな。そう感じもさせてくれるのが、『あの人の胃には僕が足りない』2巻なのです。

 1巻の段階で、舟次君を好きになっていると提示された満原先輩。しかし、満原先輩はご存知の通り、ワタリ、人外です。そして舟次君はワタリの方々には、満原先輩には大変美味しそうな、それ以外でも興味を惹かれる匂いを出しているのです。なもんで、惹かれれば惹かれる程、食べたくなる、という難儀な事態に陥ってしまっています。とはいえ、もう辛抱堪らん! というところまでは行っていないので、近くにいて、惹かれると腹がぐるるるる唸りを上げる、後舐めて気を紛らわす、というので済んでいる状態です。しかし、いつかこれが堪らなくなってぱくりと、という可能性はある訳ですよ。それなのに舟次君はどんどん満原先輩のことが好きになって、更に管理人さんにけしかけられたのもあり、高まったところで、すっと告白しちゃいます。そこでぱくりといかれなかったので、この恋は今のところ辛抱出来るレベルなのか、ともとれますが、それだけ、ぱくりといけないくらいに満原先輩にとって舟次はでかい存在になっているのか、という風にもとれる、ちょっと微妙なあわいのあるところであります。

 さておき。

 今回は新キャラも登場します。お隣さんの和泉依澄ちゃんです。舟次君家が消失してしまった、というタイミングでのいきなり登場ですが、お隣さんなので問題ないよね! と思ったら、この子がとんだ食わせ者。その家を消失させた原因であり、そして実はお隣さんじゃない、どころか舟次君とは全く初対面の、相手の記憶を微妙に操作して居たように見せる、ワタリの子だったのです。この子をどうにかする、というのが2巻中盤までの展開となりますが、どう決着をつけるか、というのが、いたふりでもいい、それでいてもいい、というワタリである満原先輩の状態ともきっちり絡んでくる辺り、テクニカルと言っていいかと思います。チョモラン先生は侮れんなあ……。

 さておき。

 今回も、この漫画はおねショタ推しです。舟次君と満原先輩の仲が進展していくのを見る、という側面でもきっちりといい仕事をしています。告白の場面もいいんですが、満原先輩が色々努力しているけど、所詮は真似でしかないのかも、というとこでの舟次君の頑張って、それでいいと踏み込むとことかもいいのですよ。そう言う部分、人間として普通に出来ることでは舟次君の方が上手なので、偶にこのおねショタがショタおねに変化する、というのもいいのかもしれません。単純なおねショタとはまた違う雰囲気がいいというか。

 後、舟次君も満原先輩もどちらもチャーミングですヨネ。と本国流法(沙村広明『おひっこし』)してしまうくらい、どっちも可愛い。満原先輩の天真爛漫な時とか、舟次君の満原先輩意識し過ぎててれってれな時とか、最高です。この状態が長く続いてほしい、とは思うものの、あまりにある意味では告白まで済ませてしまった、という側面もあり、こうなると波乱がどっかから降ってくる可能性を、長年の漫画読みとしては予測せずにはいられません。ちょっと、2巻の展開は上手くいきすぎやねん……。絶対揺り戻しがある……。

 そういう懸念を持ってしまうものの、それでも愛の力で頑張って欲しい、とまだ波乱も起きていないうちから思う、吉宗であった。