感想 服部昇大 『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』2巻

邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season2 (ホーム社書籍扱コミックス)
邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season2 (マーガレットコミックスDIGITAL)

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 大体の内容。「邦キチ、セカンドステージ!」。セカンドステージになっても邦キチ映子さんのプレゼンという名の暴力は続く! ということで、邦画〇○○〇映子さんが邦画を、とにかく邦画を強引にプレゼンして相手をポカーンとさせる漫画。それが『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』なのです。
 今回も、隙あらば邦画のプレゼンをオート始動する映子さんと、それに対して的確なツッコミでいなしていく洋一の伝統芸能とまで言える形が、更に突き進められます。邦画専門というそれだけでゲテモノアトモスフィアなのに、その中でも的確に濃いのをチョイスしてくる映子さんの選定眼はある意味確かで、だから毎回、気にはなる、という地点に降ろされるんですが、そこへのアプローチが異次元なので、ここから一歩も動きたくない! というか、見たい見たくないで言うと見たいだけど、でもこの感情を見たいと表現したくない! という心理状態にさせてくれます。その点については、この巻で洋一が的確に指摘しているので、あっ、それやっぱり規定路線なんですね。という理解が可能になりますが、ある意味ではそうでないと邦キチ映子さんの味わいではないよな、というのも同時に理解させられるので、こういうのを痛し痒しッて云うんだなあ、という謎の達観を得てしまいます。
 今回の映子さんもオール活き活きしています。そのプレゼンの弱点を突かれても全然動じないですしね。突かれたのにむしろ嬉々としてそのムーブを続けますし。個人的には斎藤工さん回と『ボヘミアン・ラプソディ』? 違うね『来る』だ! 回がマストだったと思います。徒然ましょう。
 斎藤工さん回は、もう結構名の知れた俳優さんな斎藤工さんが、それでも変な映画に出てくれる! というので映子さんがリスペクトを全開にする回です。そこは『虎影』の回でもあるんですが、話を聞けば聞くほど、何故斎藤工さんはそれに出演するのを拒まなかったんだろう、という視点しか湧いてこないという、邦キチらしいセレクションの回でもあります。フルアーマー斎藤工というパワーワードが気になり過ぎて、でもそれをわざわざレンタルで? というので大変懊悩してしまう語り口でした。でも、超刺さるんですよね、映子さんの語り。『貞子3D』も気になってしまったし。でも借りて、みる? になる辺りもピーキーな映子さんプレゼンです。
 話が逸れました。
 『来る』回は洋一が『ボヘミアン・ラプソディ』を見てグラサンをかけて練り歩いているところに、同じようにグラサンをかけて練り歩く映子さんが! お前、まさか洋画を、『ボヘミアン・ラプソディ』を見たのか!? というのでそんな訳が今まであった試しがないのに思ってしまった洋一に、いえ、『来る』の柴田理恵さんです。とちゃんと言える映子さんは流石すぎると思いました。そして『来る』を見てグラサン柴田理恵さんに感化されるという地点も流石です。同時期にグラサンが印象的な映画があった、という奇跡を封じ込めるかのような回でもあります。一緒にされた『ボヘミアン・ラプソディ』はたまったもんじゃないでしょうけれど。
 さておき、『来る』回、これは見ないとまずいか? という圧のある回です。映子さんがどういうものか、として挙げるのがさだかや、ハイロー、コクソンの三段ドロップ。どう考えても悪魔合体にあえて失敗しないといけない組み合わせ。これはマストかー!? となってしまいます。まあ、映子さんが薦めた、というのは一転して映子さんが薦めた、になるので落ち着けられるんですが。
 さておき。
 2巻でも特に登場人物は増えず、偶にヤンヤンが出るくらい。などと、その気になっていたお前の姿はお笑いだったぜ。今回の巻で更に一人、邦キチの語りにやられてしまったお方が登場します。それが石破マリアさん。シネマサロン部の方ですが、1巻描き下ろしの『デビルマン』回の映子さんの語りに、てきめんにやられてしまった模様。ついでに、シネマサロン部ではザムの話が出来ない! という、流石おハイソ進学校、ザムの話は出来ないのか! 案件で、出来そうな映子さんと語りにきたのです。そこでいともたやすくおこなわれるえげつない行為(ザム語り)に、やはり洋一が的確にツッコミをいれて成立させる回となっております。いつものように洋一が大変ですが、映子さんもマリアさんも大変楽しそうで何よりです。
 ということで基本フォーマットは確立された漫画ですので、意外性の弾は多くはないですが、変な邦画を出せば自動的に変な回になる、というある意味構造の勝利は相変わらずでもあり、なので安心して邦画の奥深さを感じ入れる。それが『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』なのです。