まんがタイムきららキャラット三作感想(2020年5月号)

まんがタイムきららキャラット 2020年5月号 [雑誌]

承前

 まんがタイムきららキャラットから三作を取り上げて、それぞれについて感想を書くという試みです。三作は中々に選ぶのが難しくなってきました。総じてレベルが上がってきていますのよ!
 選ぶのは好きな作品。とはいえ、号によって振れ幅がありますので、最大のゲインがあるやつ優先です。楽しいと乗れるじゃないですか。リズムに乗るぜの精神です。
 それではいってみましょう。

険持ちよRPG不動産』

 琴音が、死んだ。という衝撃展開で幕を閉じた前回から、引き続きのままのお通夜ムードで進んでいた、そこから更にもう一弾ゲインするという謎のムーブをしてこられました。正直、その手がありましたか! という見事な手配で、この世界の生死がそういう部分では軽い場合もあるのか、という一撃でありました。人脈が奏功した、という部分でありますが、全くのノーリスクではないのではないか、という予断も持っています。何かあるぞ、これは。険持せんせ、小池門弟だし……。
 そして、そこからもう一段状況が変わります。この本当に見事という仕事。ナホトカの仕事は聞いているわレベルの見事さで、キャラの正体をこうしたなら、まあこうなる、という理解をさせつつ、状況をがらっと。見事な仕事とはこういうものっすよ。

カヅホ『キルミーベイベー

 開幕のやすなの戯言から、一気にあぎりさんの凌ぎの話になってこれはもう駄目だな、となるのは、キルミー読者の基本諦観です。今回も諦めるしかない、絶対に頭おかしい展開になる。という予断がありましたが、それを軽く凌駕する無茶苦茶さ加減で、カヅホ先生、他の所で仕事が終わったからってフラストレーションをこっちに向けないでください! ソシャゲの反則漫画で発散してください! というレベルに達していました。
 正直、何を読まされたのかよく分からないというか、河童とは……というか、このようなものを読まされてどうしろというのだ……。案件でしかありません。そもそもの話、あぎりさんの凌ぎ回は本当にカオスになるにも程があるですよ。最近は特にその傾向が強いというか、ある意味でドラえもんレベルのお役立ちユニットとかしてませんかねえ!? と疑義を立てたくなります。そこがカヅホ先生の超絶なところではあるんですが、あるんですが!

伊藤いづも『まちカドまぞく』

 小倉さんのご先祖というか始祖というかなグシオンさんの気遣い力というか、色々あってなんだろうけどその色々があっても桃さんにこれは見せたくないなあ、ってする気遣い力というのが非常に胸を打ちました。あなたそれどころじゃないんじゃないですか!? な状態だったんですが、それでも、というのが。桃さんより桜さんに対する義理立てだったのかもしれないですが、それでも、ああやる気遣い。そして最後に小倉さんと仲良くしてあげてね、という始祖としてなのか、それともグシオンさんとしてなのかな気遣い。いい人(?)だったんだなあ。なのに小倉さんはどうしてああなった。そこもグシオンさんの一部分ではあるんでしょうから、この出会いじゃなければ小倉さんと同じムーブもあったのかもですが。