ネタバレ感想 高遠るい 『はぐれアイドル地獄変』11巻

はぐれアイドル地獄変 11
はぐれアイドル地獄変 11

 大体の内容「決着! 決着! そして決着!」。ということで計三試合が執り行われ、勝敗が決したのが、『はぐれアイドル地獄変』11巻の内実なのです。
 10巻感想*1で海空対ミカ戦は12巻辺りでは? などと、その気になっていた俺の姿はお笑いだったぜ。というくらい、今回は超絶速度で三戦が終わってしまった格好です。
 ですが、その速度が余りにも早いというのに、11巻全て読み終わるまで気づかなかった、というくらいには、緩急が自在に執り行われています。本当に、この緩急自在感は常の域を越えており、結構長く付き合ったなあ、ってまだ1巻分しかないんかい! というノリツッコミしてしまうレベルです。すげえ。
 10巻の時に予想した、最大対最小はすぐ終わる、というのは当たりました。ここの、一瞬で積み重ねておいてからのハイドーン! という展開の緩からの超ド急するので、一瞬脳が混乱します。流石にトップレベルの試合は違う! としかいいようがない、そういう超ド急。トップすげー。その後の感想戦で更に何が何だか訳の分からない納得感がしっかり残るという、ある意味この漫画の中でも異色の試合だったかと思います。
 で、10巻感想時にこれは長引くやろー、だったVSロボ戦は、確かに長くはあったんですが、それでも3話程度で済むというスピード感。なのに、じっくりやったと言えるくらいに、内容詰めっ詰めでした。
 ロボ打倒に対して色々と思索をめぐらす、んだけど色々あってぶっつけ本番。勝ち筋が一つあるならそれでいける! というマオさんの気風が良過ぎ案件でしたが、その辺もロボがきっちり対処して、これは負ける!? という流れからの勝ち確からの負ける!? からの勝ち確というアップダウンが激しさが尋常ではありませんでした。完全に、高遠るい先生の手の内に踊らされてああー! ああー! ってなるばかりでした。この揺れ幅!
 それとついでに、運命改変拳(勿論、あれ)も見られた上に、その実際を巻末コメントでどうとってもいよー。されたのでもう、それで満足するしか、ないじゃないか……。という何故か妥協満足してしまいました。まさか、使い手が他にもいるとは! というか、魔弾といい、もしかしてある意味でマオさんってカルロスめいたとこあるの!? そういうスターシステム!? あるいは子供?!?
 しかし、基本ロボVS、ロボ打倒で進んでた話だったのに、ロボの制作者が気持ち入っていって、というのでロボの方にも積み重ねが生まれてきたのは頭おかしいと思いました。そりゃあ、ロボでも感情移入してしまうのは人間の基本システムですが、だからってここでそれが発動して、更にそれに応えるように動く、ってされたら。もう、やだこのロボ子可愛い。まであってしまいます。さっき頭突きされたのをすぐにラーニングしてここぞで頭突き、って何を見せられているんだ。
 さておき。
 この巻のメインと言えるのは、スターシステムで登場の鯨岡ミカさん。それに対するはこの漫画の主人公、南原海空さん。10巻感想で、闘志の具合の違い、基本温厚な海空さんと、基本獰猛のミカさんと。この闘志の差が果たしてどうなってくるか。そこがこの戦いの焦点でしたが、初手ワンパン、という展開から入るのはやられました。
 やっぱり、あの脱力からの一撃は攻撃のモーションを感じないから決まるかー。
 と思ったら、そっから闘志もりもりでその手は読んでいた! 予め頬肉噛んでたからな! からのミカさんが立ち直ってから攻勢! 攻勢! で、やはり闘志の形質の違いかー。
 となった所で、また試合がひっくり返るんですが、その結末についてはやはり読んでない人向けに、あえて書かない仕儀としたいと思います。この試合もアップダウン、緩急が激しくて、やはりのめらされましたよ、とは書いておきます。
 さておき。
 今回三試合したので、残るは準決勝と決勝のみ。あと三試合となりました。ぶっちゃけこの三試合がどうなるか、全く読めない。皆積み上がり過ぎだろ! 感爆裂しております。これ、決勝での上がり具合、おかしくなるんじゃねえか? という、謎の信頼のようなものが湧いてきます。
 同時に、この漫画この格闘大会が終わったら、はたして元のノリに戻れるのか? ここまでぶちあがった後、また普通にエロコメになるのか? 試合よりそっちの方が気になり始めました。決勝が済んだ後、どうするんだ? そんな疑問を吹き飛ばしてくれることを期待しつつ、この項を閉じたいと思います。