なんだあ……、大体の内容だあ……、いったい何のリストだよてめーっ!!
ということで、大体の内容なんてありゃしないよ! いつものどうでもいい雑談だよ! だがそれがいい、というのがフォビドゥン澁川『スナックバス江』の良い所なのです。
とりあえず、スナックバス江で繰り広げられる、ひたすらどうでもいい話がこの漫画の基本ですが、そのどうでも良さがどんどんくせになってくるようになると、この漫画にいいように染まってきたと言えるでしょう。既に7巻も読んでいれば、そりゃあもう昵懇の間柄。タツ兄のわりとどうでもいい話からの無駄なオエッ! という汚い絵面の話が一発目でも全然気になりません。むしろ粉砕! 玉砕! 大喝采! とばかりにスタンディングオベーションです。よくやった! 偉いぞ! よくやった!
そういうネタから、どうでもいいネタ、例えばタツ兄が俺SとMというとどっち? とか言い出して殴られたりするのから、どうでもいいネタ、北海道の子を応援したくなるぜ北海道に住んでるから! とか言い出すのから、とにかく基本どうでもいいネタが満載の7巻。ここまでどうでもいいネタしかないと、ブラボー! おおブラボー! ブラボー! と叫んでみたくもなります。
この無意味といえるどうでもいい内容と、そこで行われるボケに対する超的確なツッコミがこの漫画の骨子となっています。どうでもいい内容のどうでもよさも大概特筆レベル、ここまで浦沢脚本の謎会話級にどうでもよくてなんでその話してん? なのもそうないんですが、それ以上に特筆すべきはツッコミの的確さが常の域を越えていることです。
この漫画のツッコミは本当に的確です。ボケたらちゃんとツッコむ、という基本がしっかりしていますし、ツッコミのタイミング、仕方、語彙の豊富さなど、本当に今のツッコミ漫画の粋というレベルです。この巻ですと、タツ兄断食回のタツ兄のボケ具合に対してツッコめどツッコめどタツ兄がボケ続けるとこが、最も好きですね。断食、という題材で淀みなくボケ続けるタツ兄と、それにツッコみ続ける他の面々、というある意味この漫画の神髄といえる内容でした。
ボケする人が一定でないパターンもありますが、やはりボケが確定しているとよりそのツッコミの冴えが煌めき果てるのでいいですね。
突如小雨さんが哲学を考え出す話とかの、その全体的に中二のはしかみたいなのを、ただひたすらやっていく回などはその最もたるところ。哲学ゾンビの話が、この漫画で出てくるとは! みたいなところと、それでもこの漫画はどうでもいい内容にしてくるのだ! というある意味での信頼度を上げるムーブもかましてきます。雑談には素直なのよー。るーーーー。って感じです。
小雨さんというと落語の『饅頭こわい』のネタバレやめてくださいよ! の回でもモンスターっぷりも良かったですね。おもろくなくね? という凶弾をバンバン撃ちまくる様は本当にモンスター。明美さんがフォローアップしていっても全然おもろくなくね? の凶弾を止めないのことがこの回の笑い所ですが、やはり冷や冷やするところもあったり。喧嘩売り過ぎじゃね?
さておき。
この漫画の俺たち要員、森田さんのアグレッシブっぷりは今回の巻も際立っていました。個人的に感情を無くしたら楽になるんや無ーブと、某ヤバらしい漫画を読んで心臓ドクン! の二か所がベストでした。無ーブの結局感情あるんじゃあ? なとこと、ドクン! してたとこの気持ち、わかんで……。なとこが特によかったです。やはり森田さんはものが違う……。
という感じで、どうでもいいことをどうでもよく垂れ流す。その良さが分かる人間に、私はなりたい。と思わせる謎の強さがある漫画。それが『スナックバス江』なのです。