感想 増田こうすけ 『増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和GB』5巻

増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和GB 5 (ジャンプコミックスDIGITAL)
増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和GB 5 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 大体の内容も何もいつものギャグオムニバスだよ! という定例の入りから入ります、この感想。
 発売からかなり時が過ぎてしまっていましたが、単純にメンタル面の問題で、なんか書けない、となっていました。しかし、とりあえず書いてみようの精神でやったらなんとかなったので、ここに感想を記すことにします。
 ということで、いつものように何本か取り上げてまいります。

第92幕 嘘つきは閻魔大王に舌を抜かれる

 嘘つきすぎて舌を抜かれちゃう! というある意味よくある話ですが、後3ポイントが無ければ舌は抜かれない。なら嘘を訂正すればいいのよ! という展開をし出すとは露ほどにも思わず、なのでされ始めた時はなんだこれ、という内容でした。
 増田こうすけ漫画は極論すると全て、なんだこれ、なんですが、その中でも飛び抜けて、なんだこれ、だったのがこの回といって差し支えないでしょう。よくよく考えなくてもなんだこれとしか言いようがない話なのです。
 ただ、なんだこれ、を冷静に見ると、余計になんだこれになるのであえて冷静に見ないようにしますと、全体のなんだこれ感を、閻魔大王がゴムまりのように跳ねるとか、そういう細かい技で……やっぱりなんだこれ。いやほんともう、だからなんだよ! な回の極北といった風情です。
 増田こうすけファンとしては、この味をこうやって惜しげもなく、且つ臆面もなく出せる増田こうすけ先生だからこそ、この漫画を読んでいるまであります。ですが、この回の飛び抜けたなんだこれは初心者にはおススメ出来ないレベルで、というかファンとしてもなんだこれが強過ぎてむしろ喜ぶくらいです。こういうのがお出し出来るから増田こうすけ先生は凄い……。(きょうしんじゃの目)

第96幕 主人公短期大学

 主人公になる大学。それが主人公短期大学! ということで主人公を志す者たちが集まる短期大学の話。
 主人公と短期大学。この言葉を組み合わせただけで、この回が神所謂GOD機関になるのは間違いないものがあります。実際、内容としてもそんな短期大学にわさわさ人が集まったら、ほぼ全員が主人公にはなれないよな……。というのが如実に出過ぎて、いかに生き馬の目を抜くか、という感じでこの回の主役君が幼馴染を見つけ出してその幼馴染、という語のパワーで主人公勝負に勝つ、という訳が分からないにも程がある内容となっていました。
 というか、誰も彼もがいっけえええええ! で押し切ろうとするとか、負けたら皆おしなべてくぅ、だとか、2年生は春ごろはいっけええええ! だけど秋口にはしゅんとなっているとか、色んな意味で主人公と言うのをはき違えているやつしかいないのが印象的過ぎます。
 この回の主役君も、当然のようにしゅんとなる結果に終わる辺り、この教育機関、全体的に間違ってねえか? というのを明に例示しているなあ、というものでした。根本的に無理がないか?

第97幕 プペポ君との出会い

 宇宙人だ! アイテム出してよ! ということでいきなり同居人タイプの話。
 上で宇宙人だ! アイテム出してよ! って書いてますが、本当に出会ってノータイムでアイテムを出せって展開になったので、なんか宇宙人を見たら秘密アイテムが、という狂育が我々には刷り込まれているんだ、という感慨があります。この後も、ことあるごとにアイテムを出せ! アイテムを出せ! ってやるので、この狂育はいけないことなんだな、という考えすら湧かせてきます。そもそも墜落して瓦礫の下敷きになっている宇宙人に対して、ですから、この子やべえな。という感想も出てくるのですが、我々ももしかすると宇宙人に出会ったらアイテム出せよ! ってやる可能性もあるので、他山の石としたいと、なんとなく思ったりします。
 さておき、その宇宙人アイテム、二つほど出てきますが、GPSガンはとりあえず使用禁止しないといかんな、というものだったので噴きました。場所が分かるんじゃなく、自分からくるのかよ! というのがもたらす結末が酷くて笑いましたよ。こういう地味にヤバい話は本当に好きなので、その話しか出せない栄養素の補給できて喜ばしい。

第108幕 裏無双流空手 ケンヤ

 裏だ! 裏をかくんだ! ということで、裏をかくことに執念を燃やし過ぎてよくわからなくなる回。
 素行が悪くて破門した相手が家の近くの塔に住んでいるとか、キャアアアアイとか、師範が裏をかいて弟子が行くのだと言い出したりとか、細かいツッコミどころがありますが、最終的に裏のかき合いが行き過ぎて異形になってしまうという謎のオチが凄かったです。なぜそうなる。
 というか、裏をかくのがあんまり意味なくて、最終的に鼻血出たけどもっと最初だろ! という展開になってもうなんだこれとしか言えないやつです。それが増田こうすけ漫画だとはいえ、この話もなんだこれ感強過ぎます。というか、最終的に何も解決していない! それもまたよし。鼻血最初だろ、って言いたかっただけ漫画っぽくて最高というか最ッ高だぜ! チームサティスファクションの復活だ!!(カーン!)まであります。

第110幕 氷上のチェス

 カーリングの、いいとこ見せますか!
 増田こうすけ漫画には稀に良くあるバタバタしただけで終わる回。本当にただひたすらバタバタしただけで終わってしまう為、曰く言い難いアトモスフィアがあります。
 曰く言い難いですがあえて言うと、全体的に見てそうはならんやろ、が一番の解だと思います。張り切ったはいいものの、それが空回りする、は分かるんですが、実はこいつらカーリング出来ないんじゃないか疑惑が読者からすると見えてきて困ります。全体的に選手ならしない凡ミスの連続なのです。
 というか、最後のストーンをぶつける件を見て、沸き立つカーリングの人達というのがこいつら、実は出来ないな? 感を増幅させていて、そこの所について具体的なことは一切語られないけど、雰囲気で察せる仕草となっています。これを上級者向けとみるか初心者向けとみるかは判断は分かれるでしょうが、私は上級者向けだと思います。流石に。これ初心者で分かったら増田こうすけ読みの天才でしょ。