ネタバレ?感想 船津紳平:他 『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』11巻

金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(11) (週刊少年マガジンコミックス)
金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(11) (週刊少年マガジンコミックス)

 大体の内容「30周年だぞ金田一・・・・!」
 ということで、『金田一少年の事件簿』30周年記念もあって、10巻で終わったこの漫画も記念リブート! 主だったとこ、連載での部分は大体終わってしまったので、折に触れて復活連載していたお話が今回の主流です。
 それもあって、今回は全体的に焼き直し感というか、犯人たちの存在感がどっかで見た感じ、という風に見えて、正直ちょっと乗り切れませんでした。ゲームの館殺人事件とか、また犯人が自分の過去を一掃出来るものに出会う、というそれどこかで見た事ありませんかねえ! ってやつだったので、この辺りの金田一の苦慮というのを感じずにはいられませんでした。
 そんな中でも楽しめたのが剣持警部の殺人。犯人が高遠の指示で犯行に及ぶ、というまたどっかで見たやつなんですが、その犯人が高遠に信奉をするという形になるのが新鮮でした。
 その信奉が最終的に自分の自殺で事件にかたが付く、という状態に疑問を持たせなかったのが中々面白いかと思います。いや、自殺しちゃあ、剣持警部に罪が被さったか分からんだろ!? なんですが、そこに疑問を持たないくらいに信奉してたってことでしょうか。
 とはいえ実際のところ、犯人のフィジカルの良さを高遠が見抜いていたんだ・・・・! って犯人さんは思ってたりするんですが、その辺は単に高遠が雑だったのでは? という疑惑もあります。
 人がいないとはいえ、真昼の公園から気絶した剣持警部を担いで移送する、というのはフィジカル以前に怪し過ぎて見られたら一発でお縄案件。犯人さんも、これはヤバイって! ってなってました。
 また犯人さんが自分を銃で撃って、というまたフィジカルを信じて・・・・! ってなってる場面も、どう考えても危ない橋というか、運が悪いとショック死する可能性もあるのになんだその計画。という部分もあり、高遠の作戦の良し悪しは全体としては良いんだけど、細かいとこが怪しい、という風になっていました。
 あと、この回では金田一と美雪さんが死にそうな人を見るシークエンスがありますが、もう流石にこいつらは人死にに慣れているのもあって、ガン見してる・・・・って犯人さんに戦かれてて、そこは面白かったです。確かに人が燃え死にしているとこで目を逸らさずガン見、って金田一はともかく美雪さんは目をそらしてもおかしくないのに、ではあります。人死にに慣れ過ぎというか、大体出てくる登場人物の四割くらいが死ぬ漫画なのでしょうがないというか。でも慣れ過ぎです。
 さておき。
 この漫画、今後どうなるのか、というのは微妙なラインです。まだ出ていない犯人もいますが、それらが出る場面をまた短期連載する、というのは流石に無さそうに思えます。この巻も全体としては突き抜けた良さ、あるいは瞬間でネタになる場面があったか、というとわりとおざなりというか、なんとか形にした、という感じを受けます。溜めが足りなかったというか、ネタに出来るネタが無かったというか、とにかく突き抜けていなかったな、と。
 そういう訳なので、全体的に小粒な回が多かった、というのが11巻の総評になるでしょうか。わりと無茶苦茶なことが少なくなったゆえに、小粒になってしまった。金田一のシナリオが少しはちゃんとしてきたから、という部分もあるので、そういう意味では昔の野放図なやつを強引に解釈したのとでは、やはりネタの上げ幅が違ってくるんだなあ、という感想です。もうちょっとちゃんとしてない金田一だったら、またネタとして盛り上がるのではとは思いますが、流石に30年やってるとちゃんとしてくるよな・・・・。
 とかなんとか。