ネタバレ?感想 出内テツオ:クワハリ『ふつうの軽音部』1巻

ふつうの軽音部 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
ふつうの軽音部 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 大体の内容「普通。しかし巻の中盤からアトモスフィアがおかしい」。中盤までは高校軽音部にありがちなネタをやっていく漫画ですが、その中盤からこの巻の終わりまでで何かをマジかなぐり捨てんぞして何かに変貌を遂げつつあるのが、『ふつうの軽音部』1巻の様態なのです。
 本当に、巻の中盤辺りまではぬるい軽音部漫画です。主人公鳩野さんは高校入学を機にギターを始める、軽音部にも入る、というのでそういう人あるある、軽音部あるあるが展開されます。ここはここでよいのですが、中盤にさしかかり、鳩野さんが部内オーディションに落ちた後、まだ片付けられてなかった軽音部の設備で誰もいないのをいいことに気持ちよく歌い出してから、この漫画は転調していきます。1巻の中では、まだそれがどういう意味を持つのかははっきりしていませんが、何かしらある、とは次巻予告で提示されております。
 それでどうしていくのか。それによって、この漫画が普通の軽音部漫画からどうなるかが見えてくると思われます。いや、どうなんだこれ。
 さておき。
 その転調に一番関わっているのが、部内オーディション後にポシャったバンドで一緒だった幸山さん。
 この子が何を考えているかで、この漫画は変わってきそうな、という位置にいます。
 そもそも登場した当初から妙な言動が見られた幸山さんですが、どうも鳩野さんに何かを感じていた模様で、それが鳩野さん独演会を偶然目撃してからより顕著になります。
 そこから、鳩野さんの友達の内田さんのバンドの空中分解に関わったり、そもそも鳩野さんのバンドのポシャりにも関わっていたりと、何でそんなムーブを? と謎なことをしだします。
 それも全て、鳩野、内田、幸山女の子3人のバンドを作る為! の模様ですが、まだ何でそんなムーブ? については明かされないので、普通に2巻待ちです。連載を追えばすぐにでも分かりそうですが、ここは続刊刊行待ちのモードで相対します。単行本待ちは焦れて、だから楽しみが大きくなるからね。
 さておき。
 軽音部、恋でガチャガチャし過ぎじゃね? 
 この漫画だとそれ起因のバンド解散が話に影響しておるので、どうしてもそう思ってしまいます。
 高校という男女の仲促進環境ですから、それが部活動のブースト、特に楽器が上手いとかっこいいという価値観が共有される場面だと、やっぱりそうなっちまうんだろうなあ、と理解がすんなり入ってくる。
 それくらいに、この漫画では男の取り合いとかバンドの崩壊とかが1巻の段階で豊富です。だからこんなバタバタした環境なのか、軽音部って、と蒙が啓けます。こんな蒙は啓けなくてもよかったまではありますが。
 しかし、そう考えると、そこで恋の誘いに軽挙妄動せずむしろバンド崩壊という結果だけを選択した幸山さんがクレーバー過ぎるという結論が出てきます。鳩野さんも、もし粉かけられたらなびいていただろうし、むしろその前段階で斜線を引いてバンド潰したのか幸山さん、まであります。そこは考え過ぎでしょうけど、その芽があったら潰しに動いてたかも、という謎の凄みが幸山さんにはあります。彼女何なの?
 結局、幸山さんの目的意識が何起因なのかが分からないと、この漫画の目指す場所も分からないので、その辺が明らかになるのを楽しみにしたいです。しょーもないことかもしれませんけど、それならそれでいい。このまま謎なままのが気持ちよくないので、早めに明らかになってくれい! と書いて今回は終了。