ネタバレ?感想 クワハリ:出内テツオ 『ふつうの軽音部』3巻

ふつうの軽音部 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)
ふつうの軽音部 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 大体の内容「厘さんはどこへいくの?」
 彩目さんが軽音部を退部するというタイミングで厘さんが機熟と言い出して、この退部を止め、ついでに我々のバンドに組み込もう、ということでバタバタし、結果的には厘さんの思惑通りに進んでいく形に。この漫画のデウスエクスマキナ化が著しい厘さんに対抗できる術はないのか……。というのは全然主軸じゃないのが、『ふつうの軽音部』3巻です。
 とりあえず、彩目さんとバンドできるなら別に昔のことは流せる、というハトっちの器よ。デカい。溝を作ったセミの抜け殻事件を水に流す気持ちになっている、というのでマジデカい。普通なら結構根に持つところ。全体的に話に流されている感があるハトっちですが、それはそれでよし、と受け入れる度量があります。普通に考えると厘さんにガチ詰めしてもいい場面もあるんですが、まあいいか、くらいでするっといったりしています。それが厘さんのテンションを助長しているのです。いややっぱりあいつ一度ガン詰めするべきですよ?
 さておき。
 その厘さん、プロになるという発言はブラフだったけどそれで彩目さんと鷹見クンの間に亀裂を入れられる、という目算で地雷仕込んでいたのが実際に成立しているのでマジ策士としての性能が高すぎます。ここまで理性的且つ鋭い判断ができるのに、ハトっちに対しては盲目、ということもありません。ハトっちボーカルの最初の回で、見事撃沈したとこで、あれは神が神を鍛える為に行わせた試練だ、と捉えていました。
 神になる過程と捉えている! その判断するんだったらもうなんだって試練じゃん! 盲目よりたちが悪い!
 その上で、その試練もあるからガチガチに理詰めでいってもしょうがない、なるようになる時はなる、という悟りも啓いており、場合によっては天運に任せるという策士とは方向性が違うものになりつつあります。なんというか、自然と対話するシャーマンみたいな精神性だな。
 その厘さん、3巻ではもう締め切られて出られないはずの学祭ライブに出ようと画策しています。何パターンかプランがあった中で一番平和なプランができるな、とか言ってました。平和じゃないブランがある! 当然のように荒れるタイプのプラン入れるんじゃあない! それくらいしかしないと駄目なレベルなんだろうけど、平和を求めてください! 荒れる方が神の成長にとか考えてたんじゃねえかとすら思ってしまいます。無茶苦茶ありうるから困る。
 そんな厘さんのカウンターは生まれないのか? このまま彼女の思うがままなのか? と読者が思っていたところで、今回なんとか加入した彩目さんが桃さんもハトっちも思ったことがない、こいつの言うままはむかつくな? を発動してくれました。いつかぎゃふんと言わせたろ、というのでカウンターが生まれた! と厘さんスキーには堪らぬ展開であった。厘さんがどこかで痛い目見て欲しいのです、厘さん好きは。(個人差があります)
 しかし、この漫画はかなり人間関係が芳醇になってきています。水尾くんとハトっちにラブ展開あるのかとか、厘さんが最終的に描いている鷹見クンぎゃふん計画とか、今再登場のあいつとか。そういう風に対人関係が多重になっているから彩目さんがハトっちの歌を聞きに行ったりしたのもあって、厘さんがハトっちに神を見るのも少しも変じゃ……、御免、擁護できない。
 というか、なんで厘さんはあんなにハトっちにくるくるぱーしているんですかね? 特にハトっちが厘さんに何かしたとかじゃなく、懸命にやっていることに何故か神を見るというので、ハトっちがくるくるぱーさせるつもりを全く持ってないのに勝手にくるくるぱーしているので、厘さんが『ジャンケットバンク』の御手洗君みたいなキャラになっている気がします。厘さん、あそこまで計算高く理性的なのに神にくるくるぱーなのマジなんなの? どうして勝手にくるくるぱーになっていくの?
 ということで、厘さんがやばくなりすぎなんだけど、ちゃんとカウンターも生まれたのが、『ふつうの軽音部』3巻の厘さんスキーからの視点でした。