対ありでした。のワンワード勝手に解説してみる の2

対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~  1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

迷わず振り向きEX昇天で完璧に対空……!!!

 第一回

この項について? 俺以外の奴と・・・?

 江島絵里『対ありでした。~お嬢様は格闘ゲームなんてしない~』があまりにビビッドだったので、そのワードを解説して遊ぼうよう! という項です。
 漫画ではさらりと解説しているところでも深堀骨ることが出来るはずだ! 超解説必要案件! というテンションでずずいっとやっていこうかと思います。
 それではいってみましょう。

第二回『振り向き』

 振り向きとは振り向くことです。全然情報量が無いですが、まあ待ちねえ。ここには意外と深淵が潜んでいるんですよ。
 格ゲーにおいて振り向くというのは、実は中々重要な案件です。2D型格ゲーでは、キャラクターは常に相手の方向を見ている形になります。そして、相手の位置が変われば、当然見る方向が変わります。
 そうなるとどうなるか。
 コマンド入力の方向が変わるのです。よく236Pなどの波動拳テンキー表記がありますが、これは大体注釈として右向きで、とされています。なら左向きなら? 当然、214Pになるのです。
 分かる人なら波動拳コマンドが竜巻コマンドになる、という風な解釈も可能ですが、それはさておき、では、この向きの入れ替え、というのはどのようにしたら起きるのか。
 これはゲームにも拠りますが、ジャンプで飛び越した時に入れ替わるのが、一般的です。普通にキャラクターが交わっても、押し合いはしても入れ替わることはありません。*1
 となれば当然、相手と位置を入れ替えることでかく乱する、というムーブが出てきます。
 これが、いわゆるめくりという行動です。他に裏回りなど、言い方はありますが、ここはめくりで統一したいと思います。
 さて、そのめくり、何が厄介か、というと二つあります。
 一つはガード方向が分かりにくい。めくりは通常のガードとは逆の方向にガードを入力しないといけません。そう、振り向いているので、ガードの為の入力も変わっているのです。
 その上で作中でも綾さんがめくりに行っていますが、これが実は面倒なめくりを狙っています。通常のガード、と見えて実はめくりの、という、かなり高度なテクニックを狙っているのです。
 一見どっちか分からない、でも、綾さんはめくりとして狙っているし、その通りの動きなのです。ガードが上手い相手でもミスしてしまうタイプの動きです。*2
 二つ目は、先に書いたコマンド方向が変わる、ということです。これが何故面倒かといえば、コマンドが逆になれば、出る技も変わってくるからです。あるいは、必殺技は出ない場合すらあります。これが中々に面倒臭いのです。
 なので、これを狙って、作中で綾さんはこのめくり気味を狙っているのです。
 さておき、この漫画の非凡なところは、この振り向きEX昇天の前に、ほんの少し歩くムーブを入れているところです。
 何故そのムーブが要るかというと、そのまま出したら、場合によっては前方に、つまりEX昇天がめくりの方向ではなく、元の方向に出てしまうからなのです。ゲームにもよりますが、これは結構よくある話です。
 そこに対して、きっちりと微歩きからの振り向き判定、振り向いているというデータになったところで、EX昇天、無敵技できっちりとる。完璧にこなせるなら大したムーブです。白百合さま(本名は5話で分かるぞ!)のスキルの高さがうかがえる場面と言えるでしょう。
 あの一瞬にはそういう理路が埋まっている、という話でした。意外と細かくネタが出来る漫画だな、対あり。といったところでしょうか。
 それではまた。

*1:ゲームによっては前転などで入れ替われますが、それはとりあえず置いておきます。

*2:このめくりに、裏に見えて表とか、裏に当たって表に落ちるとかもありますが、そこまですると話が交錯し過ぎるので、そこは機会があれば。

 『スプラトゥーン2』プレイ記録(2020/07/03)

本日の徒然

 またしばらくしていなかった。動画作ってたのでどうしても割を食うんですよね、これ。
 さておき、今回はいつも通りの使用ブキ、ジェットスイーパーでしたが、次はお遊び的なことをやってみよう、というので色々画策しています。面白いのかどうか、だけどまあやってみんことには。ギア厳選よー!
 さておき、既に言ってますが、今回も使用ブキをジェットスイーパーにしてギアも固定の10戦仕りました。ギアの方はメイン効率とイカ速に、メイン向上をつけてみる。使った感じで、これでどうなる? 感はちょっとありました。ちゃんと調べておかんとなあ。サブはまだ育ってないのを優先しております。でも使うのが固定的になってきたので、一回クリーニングしておく必要あるかなあ。
 さておき。今回からプレイに対してお題というか、これを意識しよう、というで人数有利不利を確認する、というのを盛り込んでやってみたり。全然出来なかったので、しばらく重点ですね。
 さておき、今回も勝敗等の記録へ。

勝敗等の記録

テンプレートは、

  • 〇戦目:戦ったステージ:勝敗:塗りポイント:キル数(アシストキル数) デス数 スペシャル使用数:一口メモ

となります。それではいってみましょう

  • 1戦目:ハコフグ倉庫:勝ち:960P:キル5(1) デス0 スぺ3:久しぶりながら中々に上手く動けた。お味方強し案件だったのかもだけど。
  • 2戦目:ハコフグ倉庫:負け:672P:キル0(0) デス3 スぺ2:タンサンボムにしてやられるなど。経験値少ないから対処が分からん!
  • 3戦目:ハコフグ倉庫:負け:903P:キル3(1) デス2 スぺ2:むう、結構抱え落ちしてしまった。使いどころ意識し過ぎると上手く使えないのう。
  • 4戦目:バッテラストリート:勝ち:1005P:キル1(0) デス1 スぺ3:上手く倒されないように動けた、と思う。倒せなかったのはまあ痛し痒しといったところで。
  • 5戦目:ハコフグ倉庫:勝ち:730P:キル5(2) デス4 スぺ2:塗れなかったが、要所は締めれたと思う。わりと出来た感。
  • 6戦目:バッテラストリート:負け:976P:キル1(0) デス3 スぺ3:立てこもり過ぎた。もうちょっと打って出ないといかんかったか。
  • 7戦目:バッテラストリート:勝ち:866P:キル6(0) デス1 スぺ3:ほぼ死なず立ち回り。上手く立ち回れると楽しいですね。まだ人数確認がずうずうですが。今日の課題なのになあ。
  • 8戦目:バッテラストリート:負け:986P:キル1(0) デス3 スぺ1:いいとこ無し。確認の方も出来てなかった。難しいのう。
  • 9戦目:ハコフグ倉庫:負け:733P:キル2(1) デス3 スぺ2:いいとこ無し。もうちょいカーリング咎めれてたらなあ。
  • 10戦目:ハコ保ぐ倉庫:負け:715P:キル2(0) デス2 スぺ2:いいとこ無し。引く判断が遅かったか。人数はまあまあ確認出来てたけど。もうちょい見ないとなあ。
      • 10戦4勝6敗。負け越し。最後の三連続いいとこ無しが響いた。本当にいいとこが無かったんだよなあ。
        • 人数確認、少しできるようになったかと。とりあえず、突っ込む前に見る癖が付きそうです。もうちょい多く見れる用になりたいけど、まあ修練ですね。

動画など

勝ち動画垂れ流し

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負け動画垂れ流し

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 ネタバレ感想 野上武志 『ガールズ&パンツァー リボンの武者』14巻

ガールズ&パンツァー リボンの武者 14 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
ガールズ&パンツァー リボンの武者 14 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

  • 前巻の感想

hanhans.hatenablog.com

 大体の内容「対戦の前のお約束。それは潜入調査だ!」。そうか、その手が……。と、己の不見識を恥じ入る感じで、本当にその手がありましたな! という大洗に潜入展開するのが『ガールズ&パンツァー リボンの武者』14巻の展開なのです。
 しずか姫が潜入なんて出来たっけ!? となり、BC自由連合の時もそれほど潜入じゃなかったから、たぶん無理だろうなあ、と思ったら本当に無理だったけど、大洗女子はいい子ばかりなので問題なかったでござるの巻。
 いや、本当に大洗女子の面々はいい子さん達です。アリクイさんチームなんか、潜入! ってわかってても楽しく遊んであげていましたし。だからって勝手に張りぼて建築して某島由紀夫の檄飛ばしさせてあげてたのはやり過ぎですが、まあそれくらい皆いい子なのです。
 なので、カメさんチーム、つまり生徒会の面々が改めて西住みほ以外視点から見た『ガールズ&パンツァー』を語ったりするのも、そのいい子の射程内です。いい子だからこその、何故あれが出来たのか、について謎ー。ってなるのもまたむべなるかな。西住みほ以外視点だと、本当に何故勝てたのか、何故大洗を守れたのかが、謎、という地点があるのだなあ、と感じ入ったりします。それを言っちゃうのも、またいい子なのですが、それはさておき。
 いい子が居れば、当然悪い子もいます。会長、作中ではほぼ元ですが、杏さんとかですね。草の者を使って、良い感じに上澄みだけ見せて満足させる作戦をかましている辺り、相変わらず策士です。
 とはいえ、策に乗らなかった黒森峰や、策の更に内側に迫るムカデさんチーム、そしてガルパン意味深ポジでお馴染みの継続のミカさんには通用しない形ではありました。
 その通じなかったムカデさんチームが、西住みほにとうとう出会う! という流れは大変ようございました。アンコウさんチームが大体神格化っぽいムーブでビビられてたのには笑いましたよ。ちょっとキャラ立ち過ぎ!
 とはいえ、アンコウさんチームは立身伝の存在として見られるのもおかしくないくらい、ちょっと性能おかしいというのは、ガルパン見てきた人なら大体納得していただけると思います。特に五十鈴さんと冷泉さんのそれはマジで極まっていたので、神格化されても仕方ないとは思います。おかしいよねあの子ら。
 さておき、そんな神格化の強い面々に対して、最も神格化されていた西住みほさんに対して、12巻辺りから揺り戻しが始まっていた訳ですが、この14巻に至って、西住みほという存在は、特に鈴さんにとってはだいぶ解像度が上がってきています。カメさんチームの証言、大洗の戦車道に強制された辺りや対プラウダ戦での負けてもいい発言*1などの、西住みほという存在にとっての戦車道というのがどうなっていたのかという変遷の情報を得ても、まだ解像度に隔たりがある。と鈴さんは言います。確かに、そちらは暗い話としての見栄えであり、そことは違う、明るい側面もあるのでは? というのは慧眼です。
 そして、西住みほに出会い、その解像度がしゃん、とした鈴さん。だいぶ納得してる感じに見えました。
 ではしずか姫はどうか? となります。
 こちらは闘志バリバリですよ。みほさんに、戦さ場にて、って言っている辺り、完全に相対者として照準が定まった感じです。しずか姫の中でも、西住みほが実在として形作られた、と見ていい啖呵です。
 しかし、ここで一つ、両者の間で意識の不一致があること。諸賢なら気づかれておられるでしょうが、みほさん、単なる練習試合だと思っているのです。先ほどの戦さ場発言に対して、戦車で、と返している辺り、まだ全然ゆるい感じに練習試合だと思っている感があります*2
 しかし、対戦相手の方は捲土重来というか、ここで戦車道勢力に楔を打ち込まん! という気概でやってくるのです。温度差が全然違います。
 この温度差が、果たして対戦にどのように影響するのか。
 テンション差で一気に押して倒してしまうのか。
 なんのかんので西住流ガチ勢でスイッチが入るとヤバイことでお馴染みの西住みほの底力が見えるのか。
 次巻が待たれます! というかフラッパー買うか!?
 とかなんとか。

*1:ここの証言の時の、鈴さんのかわいそう発言からして、鈴さんの中でどういう感じに西住みほがあるか、というのが分かる感じです。

*2:ここで戦車で、と返す辺りがみほさんの西住流ガチ勢っぷりがうかがえたりもしますが

 今月のまんがタイムきららチェックポイント(2020年7月号)

先に総評

 200号! そういうのもあるのか。ということでめでたく200号達成した、そんなきらら本誌ですが、大熊らすこ『星屑テレパス』がないのだけが返す返すも残念! という程度しか傷がない玉っぷりを見せております。200号記念は伊達じゃない!
 さておき、そんな流れの中新連載もあれば最終回もある。そういう部分の平常運転具合もあるのが200号の凄い所です。
 最終回となった、ミナミト『海色マーチ』、個人的には最後までずっと乗れないかった一作、という評価になってしまいますが、そこの軸の合わなさがどうして出てくるのか、は一度突き詰めて考えないと、今後のきらら読みとしてのキャリアに傷がつくやもしれません。気を付けないと!
 新連載となった、みくるん『はなまるスキップ』の方はなんというか、島耕作顔で「えらいことになったぞ……」ってなる作品かと思います。最近のきららにおける、新たな色の模索、という部分ではいいんですが、君、あれはパーフェクトではないかね。というか、独自、という言葉のオブラートに包まないといけない危険物な気がします。ふわふわが、過ぎる! しかし、このふわふわが過ぎるというのが、新しい色となる可能性は無くもない訳で、つまりまたきらら読みとしてのキャリアに傷をつけかねない一作が出てきた……! となってしまうことになろうとは。
 とかなんとかそんな感じで。

個別チェック三連撃

  • ルッチーフ『奥さまは新妻ちゃん』
    • 後輩奥さまが出来たよ! やったね! 新妻ちゃん! というのに新妻ちゃんさん最初よく分かってなかったのがとてもよいものがありました。その後で、あれやこれや先輩風邪吹かせられる! してたのも合わせて、新妻ちゃんさんに隙は無いなあ、と思わせるには十分な隙でした。そして最後なんだよ、あれ! で終わってさてどうなるんだこの漫画本当に。
  • 若鶏にこみ『ぎんしお少々』
    • 前作『放課後すとりっぷ』でも人間関係と認識がごちゃごちゃして途中で訳分からなくなってしまって、個人的にはついていけなかったのですが、今作も既にごちゃごちゃしてきた! というので今から戦々恐々です。すぅちゃんという勘違いが、如何にこの漫画を牽引するのか。ついていけるくらいで手心を!
  • TYONE『謎のリリリス
    • この漫画も理解という部分に対して毎度、ついてこれるーならーとNEXT LEVELですが、今回はとりあえずリリリスの謎の力を求めて誰かが敵を派遣した! というので以下次号! という話でした。そしてさーじまは料理が得意でした。さーじま、料理できたのか。そこまで知ってなかったから、唐突な飛び道具ですね? つまり、さーじまはYoutuberになれるな!(セガさん感)

今月のワンワード

  • 湖西晶『下を向いて歩こう』から。

胆石すら
 興味ある

  • 俺も、さざれさんに見せる為なら胆石くらい……っ! ってなりましたが当然人のではなく、クジラの胆石、いわゆる竜涎香です。俺も、さざれさんに見せる為ならクジラくらい……! ←落ち着け

 対ありでした。のワンワード勝手に解説してみる の1

対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~  1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

…お嬢様が中足確認しますか?

この項の説明とは……?

 江島絵里『対ありでした。~お嬢様は格闘ゲームなんてしない~』が良いのだけれど、漫画内の解説だけではよく分からないワードとかある人もいるだろう? と馴れーションしながらやっていく項となります。分かるだろ?←分かりません
 ハッキリ言えば、大@nani『ゲーミングお嬢様』でも似たことをしていたので、その延長戦上です。ゲー嬢、更新されないしね! 流石にあっちの方のネタは枯渇したのです……。ほぼゼロなんですよ……。新しい供給先を求めるのもむべなるかな……。
 それではいってみましょう。

第一回『中足確認』

 ということで中足確認。本当はパリィ滅にしたかったですが、スト4のセビ滅と同じ。というと終わってしまうので、あえてその後のワンワードからやっていきます。
 中足確認とは。中足で確認するのですが、ここで二つの用語になってしまう点をまず注意しなければなりません。
 まず中足。これは中攻撃の下段蹴り攻撃の略称です。
 現実世界の方ではストリートファイターシリーズが6ボタンで、弱中強のパンチとキックがあり、更に立ち、しゃがみ、ジャンプで出る技が変わってきます。この中で、しゃがみ中キックを中足、ということになります。もっと分解すれば、中の足払い、だから中足ですね。
 ついで確認。これは一般にヒット確認という用語になります。ヒットしているのを、確認する。だからヒット確認です。
 確認してどうするの? と思われるでしょうが、ヒット確認には続きがあります。確認したら、コンボに繋ぐ、という続きが。
 つまり、中足でヒット確認して、当たっていればコンボに、ガードされていれば何も出さない。そうするのが、ヒット確認の要諦です。
 例を挙げるならストリートファイター3 3rdの春麗が一番適当でしょう。
 世界最初の女性格闘ゲーキャラ、春麗の超必殺技に鳳翼扇があります。この技はガードされるとかなり大きな隙をさらしますが、中足ヒット確認、それもいわゆるキャンセルをしないで繋げることが可能で、更には中足先端からでもそれができるのです。なので、ゲージが溜まった春麗は中足をぶんぶんぶん回してヒット確認していく、というのが戦術として成り立つ、という風になるのです。
 これがヒット確認の重要性ですね。
 ただ、話を聞いて薄っすらお気づきでしょうが、これはかなり高等テクです。
 ノーキャンセルで繋げられる、といっても、猶予は数フレーム、60分の何秒かです。動き方、特に中足を振っている時に超必殺技コマンドを入力しておく、そしてヒットを確認してボタンを押す、というのが大変難しい案件なのです。
 だからこそ、この言葉が出る綾さんが上級者である、というのがしっかり表現されている、と言えるのです。それも、わりと生半なものではない、ガチ勢である、というのが。普通、中足確認って言葉はガチ勢以外から出てくる言葉ではないのですよ……。
 この後に出る言葉も、わりとガチで無茶なのなので、追って解説していきたいと思います。
 とかなんとか。

 ネタバレ?感想 江島絵里 『対ありでした。 ~お嬢様は格闘ゲームなんてしない~』1巻

対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~  1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~ 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

 大体の内容。『ゲーミングお嬢様? いえいえ、対あり、です』。お嬢様と格ゲー、ということで大@nani『ゲーミングお嬢様』を想起するような方にこそ読んでいただきたい。そんな格ゲー百合漫画。それが『対ありでした。~お嬢様は格闘ゲームなんてしない~』なのです。
 お嬢様学校、黒美女子学院に、お嬢様になりたくて特待枠で入学した綾さん。しかし、美味しい食べ物うまかっちゃん! という基本ド庶民なので学校にギリギリ馴染めているけど精神が削られておりました。
 そんな綾さんがある日、学院の生徒から白百合さまと呼ばれる女生徒の秘密を知ってしまいます。
 それは、格ゲーマーということ!
 というだけなら、ゲーム基本禁止の学院においては、一方的に弱みを握ったぜ! なのですが、ここで綾さんにも秘密がありました。
 それは、格ゲーマーということ!
 ということで、そこで成り行き対戦することになる綾さんと白百合さま。そこから始まる、二人の秘密の格ゲーライフ! それが『対ありでした。~お嬢様は格闘ゲームなんてしない~』の大体の概要です。
 ワタクシも、この漫画のことを聞いた時は「『ゲーミングお嬢様』!」でしたし、Googleのサジェストで「パクリ」って出るのですが、作者が江島絵里せんせということで、そう簡単い軌は一にはならんやろ、と思っておりました。
 実際、『ゲーミングお嬢様』がゲーオタジャーゴンとオタ格ゲーマー精神をお嬢様にイン! することで新規且つ亜空のギャグ漫画になっているのに対して、こちらはお嬢様がオタ格ゲーマー! そんなあの子が気になるの! ということで、だいぶ精神が違ってきており、お嬢様と格ゲーという取り合わせでこれだけの幅が! というのを見せつけられた格好です。
 その上で更に語れば、対ありにおいて格ゲーの扱いは案外しっかりしています。ノートPCとアケコンを持ってする対戦光景、コンボ的なつなぎで行われる画面の方の動き、良い感じの用語の選択、不慣れな人用適度な解説、そして格ゲーやってないとあまり出てこない案件など、どれをとっても付け焼刃では全くないことを見せつけられます。
 一つ例を挙げるなら、めくりジャンプ攻撃に対する対空の件でしょう。わりとさらっと説明してますが、表落ちっぽいめくりを、きっちり一瞬前歩きからの振り向いてから対空出して咎める、というのは格ゲーマーじゃないとおっ!? とならないとこなんですよ。実際、格ゲーやってない人には何言ってるのか分からなかったと思います。
 そこは話のメインじゃないからさらっと済ますね、という手管もそうですし、知っていればちゃんとそういう動きをしている、と理解出来る絵作りの手練もそうなんですが、とにかく付け焼刃では変にくどくどしくなってしまいそうなとこを、大変軽く済ませているのです。
 といって、全部さらっと済ませているだけ、ということではなく、綾さんの精神にダイレクトアタックだった無意味な昇竜(作中は昇天)で分からせるのとことかは、きっちりとどういう理路でここで綾さんがイラつくのか、というのを描き出してもいるので、これは本当にガチ勢、そうでなかったとしてもかなり本格的な調査をした、というのが透けて見えてくるのです。
 しかし、このバランス感覚は、おそらくガチ勢ですよ……。分からせ昇竜でキレかけのとこで怒ったら負けだ……! って完全に格ゲーマーじゃないと分からない境地です。
 そういう意味では、格ゲー漫画としてはウメハラ漫画以上に入りやすい格ゲー漫画になっている、といってもいいかもしれません。
 ウメハラ漫画もわりと非凡な性能でしたが、こちらは女の子がガチで格ゲーする、というフックとしてはおよそ例の少ない且つ巨大なものがあります。
 それでいてきちんとガチ勢が作っていることも分かる為、格ゲーの息吹というものがどういうものか、分かっているのか! とキャシャリン問いかけに対してもきっちり、これですよ! と出来るだけの仕上がりとなっています。
 そして、それだけで終わらないのが江島絵里という漫画家です。
 終わらないなら、何がある?
 百合です。
 およそ百合をぶち込むことに対してちゅうちょするという精神回路を持たない、百合モンスターというのが個人的な江島絵里先生への評です。
 殺伐魔法少女系&百合とか、おねロリ百合とか、とにかく百合がしたい精神の賜物。それが江島絵里先生です。
 この点に対してもこの漫画はきっちりやろうという意志力を感じます。勝ち続ける意志力くらい感じます。
 とはいえ、1巻から飛ばしてくる、ということは、この漫画のありようからすると違うだろう、というくらいには、まだ百合としてなってはいません。仄かに、何か惹かれる、というだけです。
 だが、それがいい
 綾さんと白百合さまの関係性は、まだ格ゲーを出来る間柄、というだけです。そこでいきなり百合ブーストを仕掛けない。そこがいいんですよ。
 この関係性を、じっくり煮込んで、格ゲーもくんずほぐれつ煮込みに煮込んで、というのがおそらく江島先生の腹のうち。いきなり百合になったら戦いにならない! バトる相手! 仇敵! そしてだからこそいつの間にか生まれる百合! この精神の流れ、どっかの瑞人ラノベで見た!
 その地点を、江島先生は確実に狙っています。ウメハラ漫画をBLとしてみることが可能なのは、そこに戦いを経た因縁が生まれるから。戦いから生まれる感情は、生半なものではない。
 そんな感情、だからこそだろうがっ!!
 ということで、江島先生の百合への飽くなき探究心と、格ゲーへのガチ具合が、この漫画を最終的にかなり尖った漫画にしてしまうのではないか、と今から勝手に老婆の心が出てしまいます。格ゲーと百合は、まだ出会ったことがないんだぞ……!
 ということで、格ゲーと百合がどのような味を出してくるのか。それが大変楽しみになる漫画なのが、『対ありでした。~お嬢様は格闘ゲームなんてしない~』なのです。この巻は4話収録。そして今なら、まだ7月中頃まで5話が見れる。この意味が分かるな?
 とかなんとか。

 ネタバレ感想 山口貴由 『衛府の七忍』9巻

衛府の七忍 9 (チャンピオンREDコミックス)
衛府の七忍 9 (チャンピオンREDコミックス)

 大体の内容「成れり、忍法おのごろ!」。ということで空前絶後の合体忍術おのごろが成り、雷鬼が生まれるのが、『衛府の七忍』9巻の概要です。
 一体どういう風に合体するのか、と思っていた忍法おのごろ、わりと直接に剥がしてくっつけるというのでいきなり度肝を抜かれます。京馬の残骸が残っているし、おのごろ中の映像も腑分け感あるものでした。
 でも、くっついてもすぐ動かない、というある意味当然と言えば当然の欠点にもわりと度肝が抜かれます。そりゃそうなんだけどさあ!? その前に普通に死ぬんでない?! 忍術って便利なのか不便なのか!
 で、その回復期間をどう過ごすか、と言う部分も、とある人物の皮をかぶって、とかなり無茶苦茶だったんですが、その無茶に対して更なる無茶で居場所を露見させたのが、鬼哭隊の魔剣豪、上泉信綱
 といってすぐ浮かばない人が多いかもですが、上泉信綱は、簡単に言ってしまうと新陰流の開祖です。それが柳生に伝わり柳生新陰流になる訳です。
 つまり、8巻で出てた柳生宗矩より確実に年を取っているはずの存在。宗矩の父、石舟斎に新陰流を伝えた人ですからね。
 って、いや、そもそも室町時代の人じゃねえか! なんですが、これが超絶の理由、時の流れからほぼ隔絶されている、で長命となっているというのです。おのごろが無茶とか言ってた時代はとうに過ぎ去ったのです! 時間操作系!
 さておき。
 おのごろ治療期間中についに見つかってしまった京馬。鬼哭隊の訓練施設に連れ込まれ、むごい処刑を行われるのですが、そこでくっついた! となって真田十勇士の忍術が次々に復活からの脱出! という激熱展開をしてきます。
 真田十勇士の特異能力のある、移植された部位の効果が次々に発動! それを活用して危機をかいくぐっていく! というので能力大好きっ子なら垂涎の、特殊能力大連発!
 ある意味都合が大変にいいんですが、それを越える説得力、その部位の人が出来るよー、ってしてくるのが堪りません。それが真田十勇士なら尚更です。
 この、少しずつくっついていって能力が発動出来て、というのがなんとなくメトロイドヴァニアの、能力を得て、道を切り開いていく感じに接合して、その部類が好きな自分には堪らないのです。出来ることが増えていって、超忍者、からの怨身忍者へと変わっていくのです。
 とはいえ、最初のおのごろでは、まだ超忍者が関の山。そこを、時間操作系の上泉信綱との激戦を経て、相討ち! となってからこそが本番なのです。
 そう、おのごろは二回行われるのです。それも、一度目も二度目も、同じ理由を持って。
 その理由とは、好きに生きろ、ということ。忍びとして命を受けて、なんてしなくていい。ただ生きていていいんだと。その峻烈な輝きを持って、生きていて欲しいと。
 当然、忍びとして峻烈に生きたらすぐに死んでしまうだろうことは分かっている。でも、この輝きをここで終わらせる、というのは勘弁ならん。
 それに、結局は8巻で穴山小助が心中を読み涙したように、真田幸村の命である徳川家康の首を取ることを、言われなくてもするだろう。それならそれでいい。それなら、自分たちの力を使って、はじけて欲しい。だからこそ、二度目のおのごろを行い、心臓や血を分け与えた、というのでもうまたしてもエモ案件で困ります。
 自分たちの命を捨ててでも、その峻烈さは残したい。なに、体の幾割かは、一緒なんだ。一緒に戦うんだ。というね。
 ああー!
 エモさが炸裂して壊れそうなのでさておき。
 今回も魔剣豪奇譚があるんですが、それは当然上泉信綱の話。戦地の地獄で時淀みという境地を得た上泉信綱ですが、それは命より重い物を、上泉信綱から奪った、という話の流れが大変うわあ……。という、精神的な重さがある話でした。助けようとした小さな命を、時淀みが奪ってしまうのです。
 相手を助けたい、という心を持っても、それを行うことは出来ない。近づいた者の時を淀ませ、最後には死に至らしめる。だから他人に触れあうことのできず、それでもわざわざ死ぬこともない。それでもある倦みを、しかし剣聖であるがゆえに鬼と戦えることで解消する。
 そんな状態であったのを、京馬との戦いでその峻烈な煌めきを受け、死に際の言葉として、「良きかな…」と満足して死んでいく、というのが、魔剣豪の業の深さを感じて、感情がぐわんぐわんされます。
 さておき。
 しかし、魔剣豪奇譚、作中現在の人物、未来の人物、ときて、次が過去の人物、というふり幅を見せてくれたのが、やはり良かったと言える点でしょうか。現在過去未来は全てやってしまった、ともいえるので、次の魔剣豪がどこから出てくるか、元から予測不能なのにもう一段不能にされてしまいました。
 たぶん、柳生十兵衛が出てくる、という予測はあるんですが、宮本武蔵出してきた。沖田総司出してきた。上泉信綱出してきた。で、柳生十兵衛が出てこないってそりゃないでしょ!? ってなるところなので、絶対出していただきたいところです。
 さておき。
 とうとう七忍は揃いました。この七忍が揃う前に終わったらどうしようかとか思ってましたが、揃ってみると我が強いのが多い! しかいないまである! 連帯とかそういうの全然考えられない! この七忍が一同に会すると、果たしてどうなるのか。そう言う部分を楽しみにしつつ二桁突入! の10巻を待ちたいと思います。