感想 耳目口司 『丘ルトロジック 2 江西陀梔のアウラ』

 内容を要約すると「壊れた彼女のドッペルゲンガー」。この作品では人外と普通の人間と二種類に大体分けれますが、大体人外より普通の人間の方が大体壊れているという基礎が今回も適用され、人外なシェイプシフターさんより今回の事件の基本であったドッペルゲンガーの製作者の方(基本的に普通の人)が怖いという悪夢的な状況に叩き込まれますが、この作品にはそれを求めて読んでいるので、むしろそうであってくれないと暴動だよ! と息巻いてしまいます。そんな今回のラスボスさんの壊れ具合も大健在で大安心でありました。うん、これこれ! こうじゃないとなあ。そしてそれを半壊させるのが咲丘君、というのも変わらずなので全くの安心印ですな。
 さておき。
 今回の事件は咲丘君が幼馴染に遭遇&その幼馴染がドッペルゲンガーを、というのを中心に駆動しますが、話としては大山鳴動して鼠一匹の諺を知らないのかよといいますが、思ったより派手には動かなかった印象があります。まあ、一巻が派手にやり過ぎたと言われればその通りだろうなあ。前情報というか予断があったので、少しがっかりしたんですが、あれだけの事を毎度してたら四巻目くらいで町が無くなっててもおかしくないなあ、と理解出来ますよ、流石にね。でも、そんな無茶無くてもこの話は問題無いので大変ありがたかったです。こちらが読み方を覚えたのかもしれませんが、それはまあそれ。
 キャラ話をしますと先に言った幼馴染の香澄さんは今までのキャラに対してはあまり派手さというか強調が弱かったように見えました。壊れ部分が無いのが致命的な致命傷だったのでしょう。外見面とかは見せよう見せようとしているけれど、この話そこ見るもんじゃねーから! でも、普通よりだからゆえに他のキャラの壊れが際立ったり、普通がドッペルゲンガーで崩れる、とか出来たので、理想的配置ではあった、と言ってしまいましょうか。でも、以後使いにくそうだよなあ、これだけ普通よりだと。戦闘力はあるけど、そこを使うキャラでもないし。
 逆に画家肌の分際で何故か戦闘力がある江西陀=サンは今回も可愛かったですね。デートしよう! って咲丘君に言われて、その後の清宮付きであると知った後の殺意の波動に目覚めた江西陀さんが異常に可愛いんですがどうしたらいいんですか。そんな風に、デートになるなんて咲丘相手でありえねーでしょうが、と言ってあげたいところです。でも、ちょっと期待してた江西陀=サンを想像するとカワイイが鬼なってしまいます。それが砕かれた時の心境も想像に難くなく、流石この話のヒロイン格、と思わずにはいられません。その前段階また咲丘君に下げられ上げられ持ち上げられ、という揺さぶりかまされてるからなあ…。この辺が他のキャラと一々別格なのはやはりヒロインの器か…。エロだけど。