感想 ☆画野朗 『もこもこBOX 1』

もこもこBOX (1) (まんがタイムKRコミックス)

もこもこBOX (1) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容。「もこもこふわふわぽかぽか」。世の中には一点突破という言葉がありますが、この漫画にはその言葉がまさしくふさわしい、幸せぽかぽか一点突破作品となっております。内容は? と申されても先に書いたようにもこもこふわふわぽかぽか以外の内容はまさしく登場しない、怒りも悲しみもイラつきも無い、ただただ普通に行われるだけの日常をもこもこふわふわぽかぽかと過ごすだけで、言うなれば何も無いがある漫画であり、内容? そんなものアウトオブ眼中ですよ! という素晴らしい割り切りで見るのが正しい姿勢と言えましょう。そういうのベリーオーケーの方は猛ダッシュで買いに走ると良いですよ。それが苦手という方にまでは流石に無理してオススメしませんが、悪食タイプを自称される方も猛ダッシュで買いに走りなさい。新たな蓋が開けますわよ!←何様調
 さておき。
 基本的にこの漫画に対する評価というのは可愛い以外ないわけですが、じゃあどう可愛いのかというのはもうふっくら可愛いという新ジャンル。ケモナーご用達のようなキャラがふっくらとした、あるいはころころとした絵柄で描かれていて、それがまあ可愛いわけですよ。もふもふしてー、って言葉が自然に漏れるくらい。
 そこは一つ、という事で可愛い以外で表現するなら、“幸せぽかぽか”とも言えましょう。ただ日常を過ごすだけの事しかなく、ですがそれゆえに幸せであり、ぽかぽかとしているのです。ただ朝起きたり、ただご飯を食べたり、ただ尻尾にもふもふしたり、ただ学校行ったりするだけ。ただそれだけなのに、それが幸せの形だと、それが素晴らしいのだと我々に伝えてくれる、そんな“幸せぽかぽか”なのが、『もこもこBOX』なのです! この辺、つまり幸せぽかぽかなただの日常を描く、というのが意図的なものであるのは、あとがき漫画にて気のせいではないでない事が開陳されます。そしてその視点、イエスだね! それによって基本的に端整めいた絵も描けるのに、基本デフォルメ調一辺倒なのも、カワイイ絵柄の子達がただ過ごすだけで萌えの源泉となり得る、という開眼によるものだろう、と理解可能だったり。やはりカワイイは『正義』は勝つ!
 好みの描写場面としてはマメ(小1)が出てくる前のラビとカッチがバタバタする辺りが結構好きです。マメが出てからはそちらに重点が置かれやすいのですが、それゆえに上手く日常が回ってるので、半分になってしまったラビとカッチの日常というのに回帰はさすがにしないかなとか。そんなマメ登場前の第三話「しゅくだいラビカッチ!」の椅子回転しながら台詞を、ってのが個人的には一番ツボだったりします。だからなんだ、と言われればそれまでですが、そういうなんでもなさこそこの漫画の基本であり、それを過たずに打ち込んでくる愚直とも言える姿勢には感服しきりでありました。このパンチ力、嫌いじゃないぜ。