感想 オオツカマヒロ 『のりタマ 2』

のりタマ 2 (電撃コミックス)

のりタマ 2 (電撃コミックス)

 大体の内容。「一人よりも二人がいいさ。二人よりも三人がいい」。ゆったりと時間の進んだこの漫画の、終わりに向けての餞の言葉は、つまりそういう人と人って、って言う事だったのかしらねえ。そういう風に邪推権を行使したいと思います。片方人じゃないけどな! 猫叉だけどな!
 そんなわけで最終巻となったこの漫画ですが、終わってみるとこの長さでも十分に感じてみたり。基本的に波乱のある漫画では無く、ゆったり日常漫画であるので、終わろうと思えばいつでもいいという融通無碍な所が上手く発揮された形になったかのように思います。そういう意味では、調整弁みたいな使われ方だったのかあ、とか変な思い込みをしてしまいますが、個人的にはこのゆったり感が大変好みだっただけに、もうちょっと、どういう日常が続くのか見たかったです。長く続いたら、もうちょい世界が広がったのかなあ。それとも、基本のままで大きく広がらなかったのかなあ。
 さておき。
 この巻での見所は一話完結が基本だったこの漫画としては異例の三話連続のお話、『猫待商店街マラソン大会』でしょうか。先に波乱のある漫画じゃない、と書きましたがこの回だけはこれまた異例として、のりえさんの昔の波乱が描かれる回となっております。のりえさんが陸上競技選手だった、というのはその前の話で提示された話でしたが、それが更に掘り下げられる形に。そこだけはこの漫画としては異例なシリアスなお話が展開され、しかし最後はカタルシスがきちんと。一人だけでは、というのがきっちりと片付けられ、この話が閉まっていく辺りはなんともじんわりと去来するものがありました。あまりくどくやらなかったのもまた、去来するものを助長した感じ。ただ、これでやりたい事やってしまったというアトモスフィアも同時に感じたりしました。そういう意味では、この辺りが潮時だった、というのが事実なのかもしれません。端から見ている読者としては、そう思うばかりであります。うん、でももうちょっとこの漫画の行く末を見たかったなあ。猫叉の話も何かありげだったし、おまけ漫画もその辺膨らませても良かったのよ? って面構えだしなあ。うーん、でもこの漫画のゆったり具合だとこれ位が適度だったとも思うし、最終回のこの構成は考えていたんですよというドヤ顔っぷりもいい物だし、うーん。痛し痒しとはまさにこの事でありますな。
 最終的にまとめないでキャラ話すると、ヤコさんが巨乳なのは知ってたけど思った以上に乳あるよなー、という話だったブラジャー回がキャラ話としては大変揺れ幅がいい具合だったなあ、とか。がっつりエロスは出来ないけど、エッチなら可能なのよ? というしゃっ面しやがって…。でも本当にヤコさんの乳は大きいですよね…。そんなのがこの漫画で実際提示されるとは、ブッダでも気づくめえ。つまり、巨乳は正義なんですよ! という意味不明の言葉で、この項を締めたいと思います。