感想 器械 『アキタランド・ゴシック 1』

アキタランド・ゴシック (1) (まんがタイムKRコミックス)

アキタランド・ゴシック (1) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容。「北の地。そこに住まう者たちよ」。
 『アキタランド・ゴシック』。それはある北の地に住まう女の子達の日常を淡々と紡ぐものです。メインパーソナリティは角っ子ですが。そう角っ子! という事でちょっと普通ではない感じの雰囲気を出しつつ、しかしやっぱり日常を淡々と紡ぐもの、それが『アキタランド・ゴシック』なのです!
 意味不明の入りで入りましたが、『アキタランド・ゴシック』は基本的に意味が分からない所と良く分かる所が交錯する漫画です。第一話目にして、何故角っ子なのか。その大前提すら全くスルーしていきなり角虫歯とか言い出す辺り確実に狙った犯行です。角がどうした。そんな事はどうでもいいー! って面構えで始まってまず意味不明単語な角虫歯ですからね。この漫画が如何に推移するつもりかを端的に表した第一話目といえましょう。
 そういう出だしだったので当然これからはそういうズレで攻めてくるわけね、OKOK、という身構えを持って二話目に突入すると、そこに待っているのはただショッピングモールに行ってゲーム買ってすぐに出来なくて悶絶。という身構えしてた方が悶絶だよ! という特になんでもない話。ナンデ!? 特になんでもない話ナンデ!? とショック症状になるのを尻目に三話目はフリマ。普通! 結局普通か! そんな思いに囚われていると、その話の端々で垣間見えるなんとも不穏な雰囲気に気付かされます。そして三話目の大オチで、ああこの漫画はそういうズレを基本にしていく漫画なのね、という真の大前提に気付かされます。基本的にズレて、そしてその上で普通やったりズレ多めにしたり、そういう采配か! そんな風に。
 そういうズレ系4コマ漫画として見ると、その適度な勾配に唸らされます。四話目の中二病台詞からの草刈。6話目の高速センスオブワンダー。10話目のいるなあ…って気分になるUFOからアブダクションのコンボ。12話目のただの雪像作り。その辺の緩急自在というか緩々休急自在とも言うべき柔軟な足腰を見て、出来ておる喃…。アイオブザタイガー虎眼面に為らざるを得ません。前提ズレからの展開ズレ、とでも言いましょうか、そんな立ち振る舞いをしている漫画ではないかと思います。
 さておき。
 萌え4コマの範疇なのでキャラ話でもしますと、基本的に可愛い絵柄で更に角っ子倍率ドン!のメインパーソナリティ、アキタちゃんを可愛い重点するのがこの漫画の基礎行動と言えましょう。あまりパッションが上がらない冷静タイプですが、たまにゲームが出来るウィーピー! とかボン・ダンスでフルテンション! とかなるとなんか妙に魅力が上がるのがポイント高いと思います。この漫画の基礎があまりテンション高くないので尚更そう見えるのですが、まあそれはそれ。テンション高い子って素敵ですよね? という面構えを持ちましょう。
 といいながら、実はアキタちゃんより姉のが好きな自分がいます。現連載分でも名前が出てこないという不遇も、可愛い重点倍率ドン! という欲目が出てくるくらい好きですよ? 7話目でへそ出ししたからじゃないですよ? ←そういう理由ね…。
 さておき。
 好きな回話に移行すると、グミの話でまあまあ盛り上がるグミ回と、唐突な展開が顕著な機械化回が良いと思います。
 グミ回なんて最初はアキタちゃんが好きなグミの話をひたすらするという誰得っぷりに、最終的にグミの精霊が出てきてでもだからどうしたというやっぱり誰得っぷりが凄い回でして、でもそれが『アキタランド・ゴシック』なんだよね。と言えば言えるこの漫画の振れ幅をしっかり見せた回とも言えますよ、たぶん。
 機械化回は可愛い絵柄とかっこいい意匠、そして若干の気持ち悪さがミキシングするこの漫画でも珍しい回ですが、ゆえにこの漫画がどういう漫画かを良く表していると思います。メイドロボの気持ち悪さは特に記載しておきたいレベルでしたよ…。
 そんなわけで、基本的に可愛い重点で見て問題ないけど、その端々に不思議な味わいが漏れ出ているという漫画である、というのが結論でしょうか。ゆるふわでもいい、でもちょっと違う味が食いたいという最近の萌え4コマに食傷気味の方に是非薦めたい所です。そしてどんどん続いてアニメ化とかするといいと思うよ!