感想 サンカクヘッド 『厨二くんを誰か止めて! 1』

 大体の内容。「中二病…、それは愚かで芳醇な時」。などとおためごかししてみても、結局痛いのは変わらないんですけども。そんなわけで、高二なのに昔の気質が抜けずに中二病を罹患し続けている厨二くんと、それに対してツッコミ気質を発露する五十嵐さんが織り成す中二病コメディ、それが『厨二くんを誰か止めて!』なのです! 基本的に騒がしく騒がしく、中二病部分でボケがなされ、それをツッコミで処理していく形の漫画であり、ある意味躁漫画が得意なサンカクヘッドせんせの面目が躍如ってると思いえる出来栄えとなっております。それはイコールで合わない人には肌に合わないアトモスフィアが出ているという事ですが、自分は基本的にサンカクヘッドノリが合う人なので大変楽しませていただきました。
 さておき。
 厨二くんの中二病力は、流石にもう高校生にもなっているので取り返しがつかない雰囲気があります。他の人も特に止める事も無いのでそれはもう野放図。自分設定をつとつと語りだしたり、力を封じる為にと包帯巻いて窒息しかけたり、自然のパワーを得ると言う名目でサーキュレーターに変な当たり方したり、修行と称して丸太の放物線の外にいたり、と、もう行く所まで行ってしまった感があります。とはいえ、それでも中身は基本的な高二なので、エロスとかそういうものにしこたま弱く、パンツ見たさに当たらない位置で揺れる丸太の軌道に入ってしまう、とか、エロ本拾って服の中に入れてたけどばれそうに、とかそこここで微笑ましい様を見せてくれます。この高二らしさと中二病らしさを、ああ、バカなんだ…、と見るのがこの漫画を読む上での正道と言えましょう。あんまりにバカっぽいので、昔の中二病時代を思い起こしてウワアアア、となるより、ああ、バカなんだ…、が先行するように思います。この辺は個々人の中二病時代の思い出とかと競合する辺りなので、人それぞれの感想になるかもしれませんが。
 さておき。
 厨二くんの中二病、これが周りにはどう写っているのか、という話をすると、上記にもありますが特に止める事も無く、そういう奴なんだ程度で済まされています。ご両親は親の欲目で、クラスメートは単に面白い奴という視点で、ジュン様はSっ気発露出来る対象としてで、それぞれ見ている。そうでもないとここまですくすくと中二病が進行していくはずもないか、という納得を得るには十分な暖かさです。そんな中で五十嵐さんがバリバリに違和感、というかツッコミ視点を持つことで、今後厨二くんがどのように変化していくかは注目に値しますが、そうなるとこの漫画の立脚点が喪失してしまうわけで、簡単には中二病を失わないで欲しい、とも思ってしまうので、その辺は痛し痒し事案といえましょう。
 さておき。
 厨二くんと五十嵐さん以外のキャラの話になると、ジュン様がやっぱり筆頭に上がると思います。厨二くんの中二設定をブーストさせ、その都度で自分のSっ気を満足させようとするその様はまさにジュン様と呼ぶに相応しい姿。というかどういう育ち方したら昔の純粋無垢な笑顔の持ち主があんな凶った笑顔でSっ気満足するようになるんだよ…。というのは地味に伏線として残っている事であるのかもしれません。昔読んでた本が超能力関係、というので、その辺でつまづきがあったのかも。つまづいたからってSっ気が発露するようになるとは露ほどにも思いませんけど。やっぱりなんかあったのかなあ……。
 とかなんとか。