感想 小箱とたん 『スケッチブック』11巻

 大体の内容「小箱とたん先生の完全円熟美!」。この巻では、一つのネタをくるくると回していく回が結構あります。今までワンテーマとかもなく、雑多な内容をごちゃ混ぜにする仕手が『スケッチブック』の持ち味である、と思っていたんですが、この巻の回しの手腕を見て、これは小箱とたん先生の円熟度が競り上がってきているな! と思ったら単にネタ切れで回さざるを得ないという告白にぶち当たったてしまって、どう考えればいいのか混乱するばかりなのが、『スケッチブック』11巻なのです。
 とはいえ、方向性が変わったとはいえ、それでもちゃんとこの漫画は変な漫画だなあ、という感嘆を持てるくらいにはいつも通りの内容でありまして、それが一つのネタを転がすという新たな一味が加わって先にも言いましたが小箱とたん先生の完全円熟美! という雰囲気を醸し出しているわけなのです。特にクリスマス回の第154回は内容にすんごい加速度がついてあっという間に訳が分からなくなっていくのがむしろ心地いいという亜空の仕上がりで、これぞ円熟。という味わいです。落ちがちゃんとついてない気がしないでも無いというか一本目の遡るからどうしてああなったかいまいち分からないと言うのも含めての円熟です。味わい深いわー。
 他にも「様」の書き順についての話とかを延々とケイトが中心になってしたり、閂ってどうなんだろうと言う話をまた延々とやったかと思ったら特に大きなオチ無しで終わったりと、今までのなんでもないような一本完結から逸脱したら、こんな味を見せるのか、という内容のオンパレードです。一本ネタも印象深いのが、暗闇の中で電灯コード探る手が当たらなくて最終的に体にコードが当たるとか、ありましたが、でも一つのネタを転がしてくれるのもまた楽しいので、このまま推移して行くのを見守りたいように思いました。
 さておき。
 今回もケイトは可愛かったですしみなもんも結構出て、この子がアニメからの使者だってもうあんまり覚えてる人いないだろうなあ、とか思いましたが、それより恐るべきパワーを見せたのは鳥飼さんのヘアピン装着バージョン。(バージョン言うな)
 いままで鳥飼さんというとまあ可愛い方だけどなあ、という程度の扱いをしていましたが、あのヘアピン装着バージョンの可愛らしさは一段抜けて、ケイトの可愛いよりもひょっとすると可愛いんじゃないか!? とダイレクトに脳を揺らされました。あ・・・? あ・・・? ってボンガロのギースめいた声が漏れてしまうのもしょうがないレベル。こんな隠し玉を今の今まで隠していたなんて、小箱とたん先生、恐ろしい子……っ!
 とかなんとか。