感想 浜田よしかづ 『つぐもも』22巻


つぐもも : 22 (アクションコミックス)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

大体の内容「決着ゥゥーーーーーッ!!」。ということで、長かった親派VS隷派の争いも決着したのが、『つぐもも』22巻なのです。
今回の巻は色々てんこ盛りです。一つのクライマックスですから、当然っちゃあ当然なんですが、それにしたって振れ幅広すぎるでしょう? というくらいにアップダウンが激しいのです。エロからシリアスからバカ話からエロからバトルからエロまで。とにかく無茶苦茶詰め込んできているのです。それでいてサクッと読める辺りが本当に非凡なものなのですが、それはさておき、まずはこの巻のメインの部分、つまり正妻の復活だー! について。
ということで正妻ですよ。誰って? 桐葉さんに決まってんだろバカタレ! というか、表紙の時点でそうなるとは「あ、理解可能」の域ですが、タイミングとしてはドンピシャなのと、そこに至る過程がきっちりとあの出来事が、というので繋がっているので、素晴らしく納得出来る復活劇です。そっから斑井に勝つまでの流れも大変小気味よく、スカッとするという言葉がぴったりの、見事な仕事。この部分が、浜かづ屋の技量の冴えの極まった瞬間、と言ってもいいでしょう。それだけの決まり具合だったのです。
この決まり具合、しかしいきなり降って湧いた訳でもないのもいいところです。その前に、斑井が非道なことをして付喪神を無理やり、それも大量に使役して一大怪物になってしまい、その非道にかずやと響華の怒りが交錯し、それを圧倒するも響華の力を使い過ぎて響華が、という流れがあります。その上での復活劇に、その斑井だったものをきっちりと一蹴する、という流れがプラスされて、もう堪らん。という次第なのです。この仕上がり、出来ているとは思っていたけどまだまだ予断を許さないくらいに出来るんだなあ。と謎の感想が出てくるくらいのもんですよ。よ、浜かづ屋!
さておき。
そういう熱い展開から一転して、とはいえほんのちょっとだけど、暗い話もあります。斑井の処遇です。先に斑井だったもの、と書きましたが、つまりそういうことです。強制的に付喪神を使役した影響で、斑井は斑井だったものになってしまいました。その処遇は、どうなったかは濁されます。が、たぶん……。その辺は暗に秘す感じで終わったのが、禍根は残さなかったんだな、という理解を促してきます。こういう部分、偶に見せるから怖いよなあ……。
さておき。
エロです。唐突に話題転換してみたような気がするでしょうが、『つぐもも』と言ったらエロ。これは誰の目から見ても明らかな事実です。今回のエロはふきふき。どういう天丼やねん。マットプレイ(直喩表現)の三種になります。
まずふきふきから。これはかみがかりの影響で昏倒して、起きたら桐葉さんが攻めてきたので、つい「だが奴は、弾けた。」してしまった後の事後処理です。完全に事後ですが、拭いているだけだからあれを描写しなくてもいい、けど暗に描写しているという、かなりの高等テクです。あまりに高等過ぎてつい笑いが出るくらいでした。
次に天丼については、かずやが相手が生きてたー! と喜びから押し倒して、あれ、この流れするの? みたいな状態になって痛くするなよ? とか言ってたらかずやがぐすぐすしだす、というのを桐葉さんと響華にするというものです。やってるのがかずやじゃなければ多分どっちかに、あるいは二人ともに酷い目にあわされるのは間違いない展開です。ちなみにコマ割りから台詞までほぼ完コピレベルで天丼なので、その点で笑ってしまえるものでもあります。
マットプレイはマットプレイです。すなおさん他二名によるかずや洗浄がどう見てもマットプレイなのです。やり方とかもそうですが、大金時殿を執拗にしたりするので、たぶん正統なそれよりヤバかったんじゃないかと思います。また18禁本の扱いになるんじゃねえか? とすら思いました。普通に買えたので大丈夫という判定なんでしょうけれども、どこを攻めているんだよ、とつい笑いがこみあげてくるものがありました。
さておき。
長かった親VS隷も終わり、桐葉さんも復活し、さてこっからどうなるのやらと。いきなり時が飛んでもおかしくはない、けど今やってるのがそういうのではないっぽいので、本当にどうなるのか。というか、これだけやっててもまだ母様の方が強い、というのはどうなっちゃうのかと。格が上がり過ぎて収拾つかなくなるのでは? と門外漢が懸念を示してみたりしつつ、この項を閉じたいと思います。