ネタバレ感想 大@nani&吉緒もこもこ丸まさお『ゲーミングお嬢様』2巻

ゲーミングお嬢様 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)
ゲーミングお嬢様 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 大体の内容「格ゲーに対して真摯過ぎる!」。1巻でも格ゲーに対して真摯過ぎる部分は、トンチキの部分で迷彩されても溢れ出ている漫画だった『ゲーミングお嬢様』ですが、2巻の大会展開で、その真摯具合が龍になるタイプの滝登りを見せるのが『ゲーミングお嬢様』2巻なのです。
 そこの、つまり対戦部分の真摯具合は本当に常軌を逸しています。隆子様と蹴子様が、2年前に出会った格ゲー者、飛紀子様。その圧倒的な力の前に、蹴子様は渡米し、隆子様は落ち込みまくりんぐ、というのがあった。そういう話がされます。
 そんな、格ゲー負けただけでそこまでなる!? と大体の人が思うでしょうが、格ゲーをしている人なら誰しも一度くらいは、「こいつには何しても勝てん!!」ってなって落ち込むことはあるのです。そこを、隆子様たちも、ついでに飛紀子様も、通過していた、という事実だけが生み出せる旨味があるんですわよ!! と叫びたい気持ちになったのは、全く自然なことだ、と思っていただけると幸いです。
 つまり、そういう格ゲーにおける挫折経験、というのが、ほぼトラウマレベルになっている所に対して、隆子様はリュウで行くという一意を得てしまっているし、蹴子様は言い訳のような全キャラ使いへの道をバクシーン! しちゃったわけです。
 たかがゲームに対して、そこまでの気合、気持ちをブチ注入する人の心性が分からない人もいらっしゃるかと思いますが、そもそもたかがじゃねーんだわ。ゲーム、だからこそだろうがっ!! とコミックマスターJさんの台詞を改変してしまうくらい、ゲームだからこそなのです。そこの気持ちが分からない方は何をやっても駄目。敗残兵です。
 と言う冗談はさておき、今回の話のメイン、隆子様VS飛紀子に至る道は平坦ならざるものでした。こういうのなら当然ですわよね? な決勝までの時間で蹴子様と組手する隆子様。お互いがどう飛紀子様にしてやられたか、というのを反芻しつつ、隆子様と蹴子様の魂のぶつけ合いへと転じていきます。五分の相手とガチガチに五分の試合をする、というのがさらっと済まされるものの、ここはさらっとですわね。という見切りとしては妥当性が高過ぎて困ります。この後の飛紀子様の試合の方が重要ですから、あそこまで溜めておいてさくっと、というのはむしろ前座の仕事としては妥当なレベルとなっています。
 そして飛紀子様との試合の方は、格ゲーなのに超常現象見ているような謎の仕上がりっぷりを魅せてきます。ここの、えも言われぬ、訳の分からない仕上がりっぷりはワンチャン、漫画の歴史に残すべきなのでは? レベルです。もっと言えば情熱届いたァ! レベルのアガる話なのです。
 というか、あなたもあの人を、そうか、そうだったんだ! などとその気になっていた飛紀子様の姿はお笑いだったぜ。って感じで、いい話にいこうかとしたらそんなことはどうでもいーー! でちゃぶ台吹き飛ばしてたのがマジグラスが繁殖します。隆子様、こいつマジもんの格ゲーグルイじゃぜー!!
 ということで、試合の内容についてはこれ以上触れません。ただ、激熱でしたわ! と言うだけです。そこに、本人たち以外の言葉は要らないのではないか。そう愚考するのです。
 ボケはさておき。
 格ゲーに真摯なこの漫画ですが、ネタをする時のネタに対する真摯さもまた、力強い。
 特に、コントローラー回のさあ、ボケていきますわよ! という踏み込み方と、そのネタで出来るのだ! ってもっていく力強さよ。いくらかの方面にスライディング土下座が必要でしょうが、それ以上に、DDRコントローラーで対戦出来るぅ! するとこが最高に頭おかしくて良かったです。一戦した後汗だくで、普通のコントローラーにしよう。ってまあそうですわよね……。ってなるとこが本当に最高でした。最初の段階でおかしかったのを、それでも出来るのだ! したけどやっぱり無理があるよね……。というか、やりだしておいてそのオチぃ! だったので繰り返しますが本当に最高でした。そうそう、そのエッジが欲しかったの! 他のトンチキ回も全てエッジが効いてたので、やっぱりそっち方面もきっちり出来るって強いわね。そう思ったりもするのでした。
 ということで、飛紀子様戦の濃さと、他の話でのトンチキさが同居する為に、アップダウンで感情がおかしくなるような気がする。それが『ゲーミングお嬢様』2巻の実態なのです。