ネタバレ?感想 陸井栄史:猪原賽 『バキ外伝 烈海王は異世界転生しても一向にかまわんッッ』2巻

バキ外伝 烈海王は異世界転生しても一向にかまわんッッ 2
バキ外伝 烈海王は異世界転生しても一向にかまわんッッ 2

 大体の内容「烈ッ海王ッッ、完ッ全ッ復活ッッ」。ということで、烈海王の完全なる力がしっかり出るのが、『バキ外伝 烈海王異世界転生しても一向にかまわんッッ』2巻なのです。
 我々にとって烈海王の完全復活というのは、どういうものなのか。それについてこの漫画は、烈海王の最大限の力を使える相手との死闘にこそ、それがなる、とやってくるので一線越えています。
 その完全復活を象徴する為の試し割りの相手、というのが首をいくら落としても、のヒュドラというのが奮っています。普通に考えると結構デカい相手を素手で首かっ切っている烈海王のスキルがおかしい気もするんですが、そんなことはどうでもいい! とばかりに首を落とされるとそれ以上の力の首を生やす相手に、うごくッッ! と攻撃を凌いでからの心臓は一つだ、からの寸勁でフィニッシュ!
 ここに、烈海王は完全復活をした、と言われると納得しかありませんでした。ちょっと強さが増しているというか、相手が相手なので桁が上がった? までありますが、完全復活を祝う方が先だ! まであるので、そこはそう祝福するしかないでしょう。変に噛ませにならない烈海王、という概念の復活ともとれますし。
 さておき。
 雰囲気から、このまま大会編に行くのか? という素振りを見せてきてからの、ちょっと異世界楽しんでくるわ。という流れもまた良い物でした。変に留めるよりは堪能させてこそ、烈海王の真価が見えるだろう、最悪大会編すればいいし。というしゃっつらぶりです。
 これによって、烈海王異世界を旅する、というよく考えると凄い話が展開されることになるなら、むしろその選択肢しかないとすら言えます。ベタな異世界物でも、その中心が烈海王なら、というのでもうそれだけで楽しいのでずるいです。わりと導入でバタバタした感じですが、このまま異世界を周遊するという流れに持ってくる為だった、というなら、それはそれでオッケーです! となるところです。
 しかし、板垣イズムで異世界漫画する、というのはこうも妙なる面白さがあるのか、というのがこの漫画の特異さを浮き立たせます。まず1000%、板垣御大はこのタイプの漫画を描かないだろうことも含めて、ありえない存在といえる漫画ですが、だからこそ、この漫画を通して板垣御大の漫画がどのようなものか、というのを浮き彫りにするところもあります。
 どこをどうエミュレートすれば、板垣漫画になるか、みたいな実験場のような様相です。花山のもその部分はありましたが、あれはあれで換骨奪胎した感じであるのに対し、この漫画はエミュレートというのに神経を使っているところがあります。これをするとバキになる、という要素がどんどん積み込まれるのです。どこまで異世界板垣恵介を融合させるか、というよくよく考えるとなんでそこまで追いこんでるの? みたいなネタを真面目にやっている。そこが得難く、でもちょっと狂気じみてもいる。ヤバイ。
 それが最終的にどこに辿り着くのか、と言う面も含めて、ちょっと今後が気になり過ぎる漫画と言えるでしょう。無茶苦茶な地点に辿り着いてほしいですね。