ネタバレ感想 イダタツヒコ:広江礼威 『BLACK LAGOON 掃除屋ソーヤー 解体!ゴアゴア娘』3巻

BLACK LAGOON 掃除屋ソーヤー 解体!ゴアゴア娘(3) (サンデーGXコミックス)
BLACK LAGOON 掃除屋ソーヤー 解体!ゴアゴア娘(3) (サンデーGXコミックス)

 大体の内容「ロットン……、顔だけは良いのよやつは……」。という鳥飼感が出るくらい、ロットン絡みの話はそこが強調されるなあ、となるのが、ゴアゴア娘3巻なのです。
 まあ、そこが重点じゃないんです。今回は少しキャンペーン的な話もあり、それが謎のキじるし一家のジェシカさんの話。ジェシカさんの兄がソーヤーを見初めて、という話に見せかけて、怪しすぎるジェシカさんがソーヤーを見初める話です。合計三話で語られる話ですが、その割に内容が茫漠としており、それが単に下手だからではなく、よくわからんことが連続して起きるから。起きていることは分かるんだけど、その裏が迷彩されまくっていて、『ヨルムンガンド』のブックマンの名台詞「わけがわからん!」の巷にぶち込まれるのです。
 何やら殺人一家だとか、その首領の母親だとか、その母親生きてたら200歳だぞとか、でもジェシカさん以外会ってないだろとか、端々に情報の断片はあるんですが、その真核に迫る情報はついぞでなくて、謎だけが鎮座して終わってしまうのです。そもジェシカさんなんなん?
 これが以後に響く話なのか、今回出ただけで全く今後に関係ない話なのか。流石にこの後全く何もない、という事はないとは思うんですが、この辺は全くイダ先生の掌心の上なので、どう翻弄してくる気だ……。と身構えてしまいます。この辺の手管に今後も注目です。
 さておき、今回もロアナプラの治安のグロさが出た話も多いです。3巻の一発目などは、この漫画でないと出来ない、肉屋が肉屋を肉にした話なんですが、ここはロックがわりとメインの視点で進む為、ほぼブラクラ本編といっても間違いではない展開を魅せます。
 しかし、この漫画はゴアゴア娘です。当然、グロの展開です。というか肉屋が肉屋を肉にする、という筋立からして、グロ以外の何物でもないのは既にお気づきでしょう。途中でミンチマッシーンの直喩画像やBBQの暗喩画像も出しつつ展開し、そしてグロの後はそりゃ肉は食えんよね、というオチになって、この綺麗なグロ軌道は見事でした。
 というか、冷凍庫に相当あれなブツ、肉屋を肉にしたようなやつがあるらしい、ってそんなの残すな! 完全に見つかったら捕まるだろ! だからブラックマーケットなんだろうけど! いや待て、需要あるのかまさか!? となってもう駄目。この漫画の深淵というかブラクラ世界であっても見たくないやつがぶちかまされます。直に見えた訳ではない、仄めかしだから余計にたちが悪いです。
 さておき。
 話を強引に逸らしていましたが、ここで戻してロットンの話です。ブラクラ世界でもトンチキ具合ではドラゴン級なロットンですが、今回は映画女優エスコートの仕事をしておりました。普通のブラクラではどうにも出てこないだろう内容で、美男美女がウロウロするだけ、というのにそれなりに絵になるのが困ります。
 そこまではいい。この漫画の中でも異端の内容だけど、いい。
 問題は、シェンホアがロットンに対して気があるっぽいムーブをしていることです。ロットンとの二人で、という映画女優さんの希望で、シェンホアとソーヤーは除かれて、ロットン指名での仕事でしたが、そこにシェンホアとソーヤーがストーキングをかますのです。シェンホア主導で。そしてなんか気持ちがあるようなないような感じの事を口走るのです。
 かなりの衝撃でしたね……。ロットンって基本シェンホアの家に来る厄介者って立ち位置だと思ってたんですが、いつからそのような心境の変化が? ってなってしまいます。一応、命の恩人であるにはあるんですが、そこを差っ引いてもロットンって厄介者。性格変だし、シェンホアの家を勝手にヤサにしている描写も度々で、そんな中で気持ちが醸成されていた、といわれるとあ・・・? あ・・・? ってなってしまいます。
 その情報を持って2巻のPOV回などを見ると、成程この頃から少しあったのか、ともなるんですけど、でもお前、ロットンだぞ? ロットン・ザ・ウィザードだぞ? ウィザードってついてるだけでもうかなり痛いんだぞ? って問いただしたくなります。冷静になれ!
 とはいえ、これが原作に持ち込まれるようになるのか、というのは謎いと言うべきでしょう。触発されてそう言うネタを入れてくる可能性は大変高いですけども、その辺の味付けは任されている。そう見るべきなのかもしれません。
 いやでも、ロットンだぞ? と、強くシェンホアさんに訴えたくなりたくなる、そんな3巻でした。