感想 東山彰良 『魔人探偵脳噛ネウロ 世界の果てには蝶が舞う』

 笹塚刑事の10年前話。
 一読後の感想は、「笹塚さん、テンション高いな……」。まあこれだけ修羅場くぐったから、普通の刑事仕事はテンション低くこなせるのか、という風に思った時期が俺にも数秒ありました。数秒後には座敷童とグレイと植物を思い出して「いや、違うだろーッ」とたけってみたりもしました。何事も経験。話が変に溜めずにさっさと進むのは原作味。この辺がノベライズを任された要因かしら?
 これがオフィシャルでいいのか、というのは「いいんでないですか」とだけ思います。これを踏まえてXとの対峙が、……まあ、別物と考えれば、いいんではないですか。本編じゃないし。うむぅ。色々あったのを一気に消化しようとしたのが、問題なんではないかと勘が告げています。それだけ笹塚さんの要素というか、因縁って深かったんだなぁ、とも。
 さておき。
 イラスト。というか松井先生描き下ろし。ラフだけれど、見場はちゃんとしていて安心。週刊で忙しいんだろうなぁ、とも思えてしまって、でも感じ感じ。
 総体。並みのライトノベルよりページスカスカすぎだろ……。経験的に考えて……。大あかほりじゃないんだから……。でも、それなりに満足はできました。もっとしたかったけど……。