内藤泰弘 『血界戦線 Back 2 Back』6巻

血界戦線 Back 2 Back 6 ―Be quiet & Follow me.― (ジャンプコミックス)
血界戦線 Back 2 Back 6 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 大体の内容。「黙って俺についてこい! 他一編」。巻数も進み、脇キャラに光が当たるようになってきた『血界戦線B2B』ですが、今回は音速猿ソニックと武器商人パトリック&ニーカが血界戦線の俎上に。どっちも味わい深い話で、その二つで終わっている巻なので、カカッと語っていきたいと思います。
 一つ目であるソニックの話、『ソニック スピード ディザスター』。いつものようにレオに会いにだかなんだかですがとにかくライブラの事務所にやってきたソニック。しかし、そこは何故だか分からないけど一戦交えた後! このなんでそうなっているのか、というのをヘルサレムズ・ロッドだから、でこっちが済ませられるのをいいことに、全く語らずにソニックになんか敵方が持ってた弱点らしいものを持って逃げる格好になっていきます。基本台詞無しなので、とにかくこれがなんかヤバいんやな!? しか分からないままどんどんとソニックは逃げていく、という格好に。バタバタ逃げる訳ですが、これで地域の音速猿との小競り合いなども混ぜ込んで、しかしトドメはその小さいと侮った者の力だ! という感じで決着するのでもう堪らん。結局弱点らしきものが本当に弱点だったのか。あるいはそれを追うことになぜ注力したのか、というかそもそもライブラ拠点で戦って大方がバタリコしていたというので、強い相手だったのかもだけどそれがどこまでだったのか、そういうの完全にうっちゃってくれます。もう、堪らん、こういう魅せ方、大変好みですよ……。
 さておき。
 もう一方の話『Be Quiet & Follow me.』、黙って俺についてこい回はパトリック&ニーカの話。この二人もかなり最初の方から出ているけど掘り下げ回は全く無かった、というのがここに来て突如クローズアップされる形となりました。ソニック話もそうですが、何故今。あるいは、今、だからこそだろうがっ!! というコミックマスターJ手つきなのでしょうか。
 それはさておき、この話は厄種復活大僧正の復活を阻止する為に、色々としていたところに切り札としてむっちゃな魔術武器の調整をすることになったパトリック&ニーカ。と、それとは違う、メインで使う魔術兵器の方の技師にパトリックの元カノが、ということから、話はシックに渋くなってまいります。
 というか、パトリックはむっちゃな魔術兵器の調整役としての自分が狙われている、というのを分かりつつも、昔惚れた女の為に体を張ってわざと捕まり、助ける訳ですよ。おそらくお互いにそう言う気持ちはないんだけど、でも一種のけじめのように遂行する様がマジで渋い。更にニーカと初めて会った時の話もまた渋くて、そこでもここでも、助けると思ったらどうあっても助けるという力強さを持っているというね。ドレッドなおっさんからは考えられない渋みです。ますます『血界戦線』シリーズの話の振れ幅が分からなくなったぜ!
 さておき。
 この漫画に慣れてしまった、という気持ちはあります。流石に何度も世界の危機じゃね。でも、この巻の話は「慣れてるよね? だから当然いきなり世界の危機だよ!」というイカしたしゃっつらで、そっち方面について語る手筋が手短に分かりやすくさくっと済ませるようになってきている辺りが大変分かっているなあ、と。いいぞもっとやってくれ! 俺に生きる実感をくれ! と塩沢兼人声になるのも仕方ないと思っていただきたい。これこそWIN-WIN! そう言うのが描きたいし、そう言うのが見たい! でも偶には真っ当な攻めも見たいですよ! 脇道逸れてないで、ガチガチに真ん中ぶっこんできてください!
 とかなんとか。